教員対談 | 大阪商業大学 大学院

教員対談

地域経済政策専攻とは?

社会の多様化に応える、柔軟な組織と人材とは

地域経済政策専攻 教授
初谷 勇(Hatsutani Isamu)

初谷:私はNPO政策論、中でもいろいろな政策分野で活動する非営利法人を研究しています。今は、事業を通じて社会的課題の解決を図り新たな価値を創造するソーシャルエンタープライズ(社会的企業)を設立・運営する上でも、組織の選択肢が豊かになっています。1998年のNPO法の制定や2000年代の公益法人制度改革によって、非営利団体が法人格を取りやすく経済的支援を受けやすい仕組みが格段に整いました。市民活動や民間公益活動に、NPO法人や一般社団・財団法人などを柔軟に活用できるようになっています。これは明治以来110年間続いた旧公益法人制度に比べ、画期的な変化といえるでしょう。

松尾:NPOなどの"非営利"組織と営利企業との違いには、とまどう学生も多いみたいですね。

初谷:非営利とは利益を構成員に分配しないことなのですが、「非営利=無償のボランティア」というイメージがあると、NPOは活動財源をどうしているのか不思議に思われるようですね。NPOがサービスを提供するマーケットでは、子どもの福祉や環境再生、動物愛護などのように、必ずしも対象者から直接サービスの対価を得られない場合もあります。活動の継続・発展には、一方で寄附や助成など資金調達のためのマーケットが重要です。資金調達とサービス提供の2つのマーケットがうまく機能してこそ、NPOはバランス良く活動していくことができるわけです。

松尾:先生のゼミの学生は、どのような研究をされていますか。

初谷:私は公共経営学や公共政策学も専門にしていますので、学生の研究分野も多岐にわたっています。市町村保健師の専門職性と政策形成への参加を研究した社会人、地域医療と医師確保の問題に取り組んだ学部からの進学生、日本と中国の大気汚染対策や、コンテンツツーリズムによる日本の観光振興政策を研究した中国や台湾の留学生もいました。今は、学部で建築学を専攻した留学生が日中の住宅政策を比較検討しています。

本大学院の研究にかかせない比較の視点

松尾:私のゼミの学生も、研究テーマは多岐にわたります。私の専門はロジスティクスの中でも特に、トラック中心の国内の輸送構造を船舶や鉄道に移行していく「モーダルシフト」について研究しています。私は学生にロジスティクスを根底に持つと、どのような研究ができるかという視点を提供しています。例えば、ユニクロとZARAは人気のあるファッションブランドですが、物流に目を向けると前者は海運中心、後者は空輸中心と、輸送戦略は大きく異なります。ユニクロは中国、ベトナム、ミャンマーなど、生産地を移転することで安価に抑えていますので、船舶が中心になってきます。一方、ZARAはトレンドをすぐに製品化して店頭に並べられるように空輸が中心です。その分コストは高くなります。つまり、ロジスティクスという制約が、ビジネスモデルを決める要因にもなっているわけです。

初谷:学生たちは自分のテーマをロジスティクスという視点から探求していくわけですね。

松尾:ベトナム出身の学生は、母国のベトナムにどういう条件ならば日本型のコンビニエンスストアが進出できるのか、ということを研究しています。近隣諸国のタイはコンビニの進出が盛んで、ベトナムと比較するとどういう状況なのか、という研究をしていくわけです。そうした比較の視点も、本大学院の研究の特徴といえるでしょう。

初谷:「比較地域研究」ですね。公共政策でも、地域間の比較はとても重要です。地方分権の時代ですから、自治体や圏域ごとに特色のある政策が展開されています。地域の特性や資源はそれぞれ異なり、成功する地域もあれば、失敗する地域もある。内外の他の自治体などの取り組みを参照しながらも、自分たちの環境や条件をしっかり踏まえて政策を創造し革新していくことが大切です。政策力を高める上で、比較の観点からの検証・分析は常に欠かせません。

一人ひとりの学ぶ目的に応える、サポート環境

経営革新専攻 教授
松尾 俊彦(Matsuo Toshihiko)

松尾:本大学院の修了生の中には、そうした知識を身につけて、自治体で活躍されている方もいらっしゃいますか。

初谷:自治体や民間企業、それから大学教員となって研究を進めている方もおられますね。今、本大学院の志望者は多様化していて、学部からの進学生や外国からの留学生、社会人の方、さらに最近はシニアの方も増えています。自分の歩んできた人生や仕事を振り返り学問的に体系化して博士論文としたり、書籍化したいという方もあり、そのサポートを私たちができることは、実践に裏打ちされた専門知の継承を支える意味でも意義があると思っています。

松尾:社会人の方は仕事との両立が大変ですが、土曜講義や夏期休業中の集中講義に対応したり、梅田のサテライトオフィスで夜間に講義をしたりと、一人ひとりに合わせたサポート体制は整っています。さまざまな方に、本大学院での学びにチャレンジしてほしいですね。

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