経営革新専攻とは? | 教員対談 | 大阪商業大学 大学院

教員対談

経営革新専攻とは?

経営革新専攻とは?

さまざまなアプローチから見えてくる経営戦略の最前線とは。

孫:私の専門はマーケティングですが、自動車産業、特に日系自動車メーカーのアジア進出について研究しています。日本のメーカーは技術や品質が優秀ですが、アジア市場での販売が伸びていません。その点を現地のマーケティング担当者やディーラー、中古車販売業者、消費者など、さまざまな対象に調査を行い、実証研究から導いた課題を提起したり、対策を考えています。

柗永:日本のメーカーは、現地のニーズを汲み上げることが得意ではないということですか?

孫:例えば中国の消費者はステータス重視の傾向で、自動車というのは生まれて初めて買う人が約8割なんです。ステータスを満たしたい、かといって、そんなにお金もない中で、海外の自動車メーカーはエンジンサイズが小型でもターボを付けて高出力でアピールしたりと、中国の消費者を惹きつけるモノづくりをしています。日本のエンジニアは、より良い自動車を作るというプライドがあるため、心情的にスペックダウンを嫌うんですね。だから、思い切った新興国向けの開発をしてきませんでした。最近ようやく軌道修正してきました。欧米市場が成熟している今、新興国での成長はかかせません。

柗永:私は現在、NPOについて研究していますが、修士までは経済学が専門でした。経済学を学んでいくと、実際の生活との間に乖離が見えてくるんですね。ブータンが世界で一番幸せな国だと注目されましたが、経済大国の日本の幸福度はずっと低いわけです。経済的に豊かであることが、人々の幸せとは限りません。仕事にしても、収入がすべてではなく、社会や人の役に立つことにやりがいを見出す人がいるわけです。アメリカでは、大学生に人気の就職先としてNPOが10位以内に入ります。例えばTeach For AmericaというNPOでは、地域間の教育格差を社会問題だと捉えて、エリート大学出身の若者が地域で先生を勤めています。社会のために行動する利他的な目的と自分のスキルアップという利己的な目的とが、アメリカの若者の労働市場では共存しています。

孫:日本ではまだ、NPO=ボランティアという誤解がありますよね。

柗永:NPOは利益を求めていいんです。利益の大部分を社会問題の解決に還元するのであれば。私が研究しているのも、こうした経営的な戦略を持ったNPOの動きです。CSRのひとつとしてNPOとコラボして社会的責任を果たそうとする企業の動きも一般的になりました。今は、企業も経営戦略として、経済的な目的と社会的な目的の両方を追求しないと市場でそっぽを向かれる時代です。NPOと営利企業の境界が取り払われつつあります。

新たなイノベーションを起こせる人材の輩出を目指して。

孫:私のゼミにはミャンマー出身でBOP(Base of the Economic Pyramid)を研究したいという院生がいます。年間所得が3千ドル以下の低所得層が、全世界には約40億人いると言われていますが、途上国も経済成長を続けていくと、いずれは大きなマーケットに成長します。ある大阪の企業が納豆菌から開発した水質浄化剤をアフリカや東南アジアで広めるために、貧困層の女性を雇用し、収入を得られる環境をつくり、将来的なマーケットも開拓していく活動をしています。NPOとも共同で現地の社会問題に取り組みながら、地域のレベルアップを図っていくわけです。

柗永:社会問題の解決とビジネスが共存できることを企業は理解し始めています。孫先生の専門である自動車産業にしても、自動車メーカーがハイブリッドカーに取り組むのは、社会的責任だけではありません。社会問題に取り組む企業の製品を買おうとする消費者や投資家の考え方のシフトがあって、戦略的な視点で無視できなくなったからです。

孫:自動車産業は、これから転換期を迎えます。電気自動車が普及し出すと、欧米や日本のメーカーが持っていた競争優位性がリセットされ、新規参入が活発化します。新興国からするとチャンスであり、先進国にとってはリスクになる可能性があります。

柗永:そうした時代に活躍しうる人材育成こそ、本専攻が目指すところですね。

孫:アメリカや中国では、大学レベルからイノベーションを起こす企業が出てきています。本専攻でも、既成概念にとらわれずに果敢に挑戦してくれる人材を育成していきたいと思います。

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