フィールドワークゼミナール

PICK UP! 原田ゼミナール

Profile2021年11月取材時

  • 原田 禎夫准教授
    公共学科

  • 松野下 翔太さん
    経済学科 4年

  • 木村 彰吾さん
    経営学科 3年

  • 菊地 清志さん
    公共学科 3年

  • 大倉 佳菜さん
    経済学科 2年

  • 小西 陵丘さん
    経済学科 2年

  • 峰 遥華さん
    経済学科 2年

原田ゼミナールに所属を決めた理由は?

松野下 私は、中学・高校で美化ボランティアに参加し、川岸に落ちているごみ拾いをしたことがきっかけで、大学ではごみ問題について深く学ぼうと思っていたからです。
木村 私も高校生の頃にごみ拾いのボランティア活動をしており、それをきっかけに原田ゼミナールに興味を持ちました。最終的に決め手となったのは、ゼミの雰囲気の良さです。
菊池 私も高校生の頃の体験がきっかけです。高校で参加していたユネスコスクールで、他校の生徒と一緒にESD(持続可能な開発のための教育)の一環で、高校生ができる環境保全活動や持続可能な社会について考えました。それを機に、大学でも環境保全に関わることを学びたいと思っていました。ところで、原田先生はなぜ河川環境保全の研究を始められたのですか?

原田 もともとは川の研究には知識もなかったのですが、ある時、川のプラスチックごみ問題の写真を目の当たりにして、衝撃を受けたんです。その当時、20年近く前ですが、まだプラスチックごみ問題を扱う研究者はほとんどおらず、自分がやらねばいけないと思って、このテーマに取り組み始めました。
2年生の皆さんはなぜ私のゼミナールに参加することにしたのでしょうか?

小西 私が原田ゼミを選んだのは、もともと自然が好きでキャンプや釣りに行くうちに、川の環境問題に関心を持ったからです。
 私は事前説明会で河川環境の現状に興味を持ったということと、学外へ出て自然の中で活動するという点に惹かれて挑戦を決めました。
大倉 私の住んでいる地域ではごみ袋の有料化が進んでいて、それをきっかけにごみ問題に関心を持ちました。

原田ゼミナールの活動内容を教えてください。

原田 清掃ボランティアなど学外で活動をすることが多いのですが、そこからもう一歩踏み込んで発見した課題の原因や解決策まで考えるのが原田ゼミナールの活動です。例えば京都北部の漁村を合宿で訪れた際には、海岸に流れ着いたごみの調査や漁業の体験をしましたね。
松野下 朝早くから漁船に乗せてもらい、漁師さんの仕事に密着させてもらいました。なかなかできない貴重な経験だったと思います。船の上で食べたイカの味も忘れられません。その後は海岸に落ちているプラスチックごみを拾って、流出源の国別に並べてリアル棒グラフをつくる取組みをしました。流れてくるペットボトルの多くが日本で出たごみということが「見える化」されて、現地の漁師さんもプラスチックごみ問題への関心を示してくれました。

原田 学生にとっては学びにもなるし、地域に存在している問題を現地の方々に再認識してもらうきっかけにもなる。まさに学生と社会が相互に影響し合うような活動ではないかと思います。2年生は初めての学外活動で、京都の保津川で清掃をしたり、船頭さんの話を聞いたりしました。
小西 保津川のごみ拾い活動では、ものすごく古いごみが多く出てきたことが印象的でした。誰も拾わないまま長年放置されていたのだと思います。
大倉 発泡スチロールなど、どこから来たごみかわからないものも多く、ごみ問題の原因がどこにあるのかに関心を持ちました。
 捨てられているごみの種類も多様で、それぞれのごみがどこで排出されるものなのかは、問題の解決に欠かせない視点だと考えています。

原田 2年生のみなさんにはその気づきをさらに掘り下げて、ごみがどこから出るのか、解決にはどうすればいいのかなどを学んでもらいます。
そして、漁師さんや船頭さんなどさまざまな職業の人と関わる機会をつくるという点には、私のもう一つの狙いがあります。学生のみなさんが将来のビジョンを考える際、就職活動をして企業へ入社し、会社員として働くというルートが一般的と思われがちですが、実は世の中には多様な仕事があるということを知ってほしいのです。ゼミナールでの学びの中で、知識をつけるだけでなく、視野の広がりやたくさんの経験値を得てほしいと思い、さまざまな仕掛けを用意しているんです。あと、3年生は学外での活動にも積極的に参加していますよね。

木村 私は原田ゼミに参加したことをきっかけに、「SDGsエコフレ~サミット」という学生団体に所属しています。SDGsの17のゴールのうち「海の豊かさを守ろう」をテーマにイベントで発表しました。他の講演を担当される方々とお話しする機会もあり、視野や人間関係の広がりを感じ、とても有意義でした。
菊池 他大学の学生と行ったディベート大会がとても印象に残っています。各大学のチームがそれぞれ事前準備をしたうえでディベートに臨み、激しく意見をぶつけ合いました。大会はすごく盛り上がり、他大学の学生とはディベートが終了した後に連絡先を交換し、今でも連絡を取っています。

原田ゼミナールの活動でどのような成長ができましたか?

菊池 川で投網の投げ方を教わるなど、通常のゼミナールでは絶対できないようなことが体験できました。多種多様な経験が得られていると思います。
原田 私は、そのような一つひとつの新しい経験がこの先の人生を豊かにしてくれると思っていて、それが原田ゼミナールの狙いでもあります。
木村 学外へ出てプラスチックごみ問題を目の当たりにしたり、SDGsの講演会に参加したりする中で、視野が広がりました。例えば、日本ではレジ袋の有料化が話題になっていますが、世界の多くの国ではすでにレジ袋は禁止されています。日本国内で大きく話題になるようなことも、世界的に見れば遅れた取り組みであるなど、国際的な共通の目標であるSDGsについて議論するからこそ見えてくることがあります。日本で当たり前なことが海外ではそうではないということがたくさんあると知ったので、来年は海外へ留学して、外国の社会を直に体験したり、国外から日本を客観的に見てみたいと思うようになりました。
小西 ゼミの活動では新しい職業との出会いがありました。これまで交わることのなかった方々の話を聞いて、地域にある課題を発見したり、それに携わる仕事の魅力を知ることができたり、新たな気づきにあふれていると思います。

フィールドワークゼミナールはどんな人におすすめ?

小西 先生が生徒に知識を教える高校までの授業とは違って、実際に社会へ出て実践的にデータを取ったり、さまざまな人と協働しながら学ぶというのが原田ゼミの大きな特徴だと思います。アクティブに動くことが好きな方にはぜひおすすめしたいです。
 自分自身はもともと河川環境問題に関心があって大学へ入ったわけではないのですが、学んでみると奥が深くとても面白いです。いま、河川環境に興味がない人にも一歩踏み出して挑戦してみてほしいと思います。
松野下 ゼミでは学生自らが積極的に動くことが求められ、私自身これまでの活動で主体性が身についたと感じています。新しいことにチャレンジしたい人や、地域社会の課題解決に関心を持っている人はフィールドワークゼミナールに向いていると思います。
菊池 教室の外に出て実社会の課題解決のためにさまざまな活動をできるのが通常のゼミナールとの大きな違いです。大学でより深く環境問題を学びたい人はぜひ原田ゼミに来てほしいです。

木村 学外での活動も多いですが、原田ゼミでは、学外活動の事前準備をグループで行ったり、関心のある事象について調べて発表したり、学内での学びも充実していると感じています。学外で得た知識を学内で咀嚼したり、学内で得た知識を学外で実践したり、双方向の学びを体験してみたい人には原田ゼミがぴったりだと思います。
原田 フィールドワークゼミナールに参加するのは、大変で面倒なことと思う人もいるかもしないのですが、それを楽しみつつ面白がって行動できる人はきっと豊かな人生を送ることができます。漁師さんから投網の投げ方を学んだり、船頭さんの話を聞いたり、普段経験できないことを体験できるというのは大学ならではです。そのような生きた経験を、原田ゼミナールではたくさんしてほしいと思っています。一歩を踏み出せば、視野は大きく広がるし、主体的に動くことでなんでも楽しむことができると高校生の方々には伝えたいですね。