研究叢書の一部をご紹介します

現地調査・アンケート調査の成果と、国際シンポジウムの記録も読むことができます

比較地域研究所研究叢書第十七巻『ベトナム中小企業の誕生－ハノイ周辺の機械金属中小工業－』前田啓一著（2018年3月22日発行）

　この本では、ベトナムに進出する日系中小企業とベトナム人起業家について現地の情報をもとに詳しく述べられています。ベトナムの経済発展は中国より遅い時期に始まったため、ベトナムの創業者は最初から経済グローバル化の波に直面しました。
　少しだけ中身を紹介すると・・・第1章ではグローバリゼーション下でのベトナム経済の国際的な立ち位置が、第2章ではベトナムの中小企業が進出日系中小製造業との取引関係のなかでQCD（製造業の重要な３要素である品質・コスト・納期）を高めていること、それに、ベトナム北部で基盤的技術分野を担う中小企業が誕生していることがわかります。第3章と第4章では、日系企業はまだ部品の現地調達や部品加工の外注はベトナム国内では難しいこと、とはいえ金型産業の成長の兆しが見られることが述べられています。第5章と第6章では、ベトナム人起業家には日本留学を経験したトップ大学卒業のエリートが多くインフォーマルな人間関係が重要となること、バイク関連分野の事例とともに紹介されています。詳しく述べられる現地の様子にワクワクする一冊です。
　さらに、補章では、2014年の国際シンポジウム（ASEAN統合とベトナムの工業化）の詳細な記録が収録されています。

→「ベトナム中小企業の誕生-ハノイ周辺の機械金属中小企業-」