河内木綿栽培日誌 | 河内木綿について | 大阪商業大学 商業史博物館

河内木綿について

河内木綿栽培日誌

はじめに

谷岡記念館の前で、かつて地域の伝統的な商品作物であった「河内木綿」を栽培しています。

当館での河内木綿の栽培は、今年で4年目となります。今年も昨年に引き続き、収穫した綿の種から育てます。

夏には黄色い花が咲き、秋には実がついて真っ白な綿を見ることができます。

みなさんもご一緒に成長を見守ってください。

2023年度の栽培日誌(2023/4/25~)

◆ 7/13(木)間引きと追肥

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蝉も鳴き始め、気が付けばすっかり夏ですね。連日の気温30℃超えに早くもグッタリしています。

昨年の日誌(7/2)で奈良県出身の俳人・阿波野青畝の「乱心のごとき真夏の蝶を見よ」という俳句を紹介しましたが、こんなに暑い中で馬鹿真面目に働き続ける私たち人間こそ「乱心」しているのではないか...そのような疑念を抱いてしまいます。

スペインのシエスタのような長いお昼休み(休憩+昼寝)が社会習慣化してくれることを、日誌担当者は切に願っています。

本題に戻りまして、去る6/29(木)の午後に「間引き」と「追肥」を行いました。

最も生命力の強そうな棉を残して、他は根もとの近くからハサミでちょん切ってしまいます。密集を防ぐことで日当たりを良くしたり、病気や害虫の被害を減らしたりする役割があります。

間引き後は追肥を行い、栄養素を補給しておきました。

独り寂しく作業しているように見えますが、安心してください。写真の外に参事がいますよ(前回の日誌で何の了承も得ずに写真を掲載してしまったためか、写ってくれません)。

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【間引き・追肥前】↓↓↓

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【間引き・追肥直後】↓↓↓

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間引きのついでに支柱も設置しておきました。これで多少の風が吹いても、安心です!

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間引きと追肥から2週間が経過した7/13(木)現在、こんなに大きくなりました。

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小さな蕾の姿も!ちょこんとしてとても可愛いです。8月頃には開花する見込み。

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担当者が不在の日に強い雨が降り株が一本折れてしまったそうですが、参事がすぐに補強してくれたお陰ですっかり復活しています。

昨年は散々悩まされたハマキムシも、今年はまだ一匹も発見していません。なんとなくですが、今年はバッタが多そう。年によって襲来する害虫も違うんですね。

油断は禁物ですが、このまま何事もなくのびのびと大きく育って欲しいです。

早くお花に会えますように。

◆ 6/14(水)大きな鉢へお引っ越し

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6/9(金)の午前中、河内木綿と藍を大きな鉢へ植え替えました。

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今年は参事(上の写真左)が軽トラと鍬を貸し出してくれたため、作業時間と労力がかなり軽減されました。ありがとうございました!

植え替え用の土は昨年と同じく、腐葉土とパーライトを混ぜ込んで作りました。7分目くらいまで土を入れ、ポリポットから取り出した河内木綿の芽を置いていきます。その段階で、緩効性肥料(マグァンプKの中粒)をパラパラと加えておきました。昨年は土作りの際に一緒に混ぜ込んだのですが、参事が「これ高いねん...」と言ったため、一鉢ごとに直接撒く形になりました。

写真は撮り損ねましたが、土を詰めている最中にまたしてもカナブンの幼虫(5/15の日誌参照)と出会いました。どこかの鉢の中で暮らしていますよ。

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このように並べています。成長を見守ってくださいね。

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記念館の玄関前で水やり用の雨水を溜めているのですが、そのうち一つの甕の中にボウフラが発生してしまいました。被せておいた蓋の隙間から蚊が侵入したようです。

写真の赤く囲んだところ(室長が写真を撮ってくれましたが、ピントが...)。

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担当者の愛読書ならぬ愛読ウェブサイト「アース害虫駆除なんでも事典」によると、蚊は一度に100~200個卵を産み、その卵は1.5日で孵ります。それから7~10日を幼虫(ボウフラ)として過ごした後、蛹(オニボウフラ)となります。蛹は2~3日で成虫(蚊)となり、繁殖を繰り返すそうです。

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甕の中では、ざっと見ただけでも数十匹のボウフラが湧いていました。ボウフラ自体はお水を綺麗にしてくれる益虫ですが、これが全て成虫になったらたまったものではありません。

早急に何らかの対策をしなければ...と思っています。

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本日の一句、孑孑や日にいく度のうきしづみ(一茶)

ボウフラのことを漢字では「孑孑」と書き、俳句では夏の季語として用いられます。一日に幾度となく浮き沈みを繰り返すボウフラを眺め、詠んだ句です。

◆6/5(月)途中経過

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河内木綿と藍の成長記録。雨にも負けず風にも負けず、ぐんぐん伸びています。

【河内木綿】

①5/22

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②5/29

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③6/5

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【藍】

①5/22

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②5/29

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③6/5

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昨年はこの時期にハマキムシが襲来し、木綿の可愛い新芽たちがくるくると巻かれ食べられてしまいました。今年は今のところハマキムシの被害は出ておらずホッとしています。が、ナメクジが這ったような痕跡がチラホラ。引き続き、注意しなければなりません。

室長が自宅から持ってきてくれた藍の鉢が、ギュウギュウになってしまいました。そのうち株を分けます。

鉢へのお引っ越しは、6/9を予定しています。

◆5/24(水)発芽

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5/18(木)発芽

種を植えてから3日目の朝、早くも出芽(土から芽が出現すること)を確認しました。

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おそらく、これが出芽第一号。河内木綿の赤ちゃんですね。

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種蒔きの前々日から室員Oさんが種を水に浸してくれていたのですが、種蒔きの時点で既に種皮が割れて根が出ている種がいくつかありました。今年の木綿は活きがいい!

数時間おきに様子を見に行くと、そのたびにぽこぽこと新芽が増えています。下の写真は同日(5/18)の午後4時前。

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土を押しのけて芽を出す姿は力強く、そしてとっても可愛いです。

担当者のモチベーションも、新芽と共にようやく芽生え始めました。

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種をとる前に雀に食べ尽くされてしまい、よもやよもや...となっていた藍ですが、なんと、生存していました!

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自然に落ちた種が芽を出し、雑草の脇でひっそりと成長していたようです。

生き残った藍だけを残し、周りの雑草や枯れた茎は処分しました。

ビフォー

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アフター

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なんだか貧相で心許ない姿ですが、仕方ありません。元気に育ってくれますように。

下の写真は室長が自宅から持ってきてくれた藍。「種をとり損ねました」と白状したところ、自宅で育てていたものを譲ってくれました。ありがとうございます!

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\5/24現在、こんなに大きくなりました/

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今年も、強く大きく逞しく育ってね。

◆ 5/15(月)土作り・種蒔き

5/1(月)土作り

ゴールデンウィーク狭間の5/1(月)、憧れの9連休は泣く泣く諦め、せっせと河内木綿栽培用の土を作っていました。

木綿は酸性土壌を嫌うので、アルカリ性の石灰を撒くことで中和させておきます。今年も昨年と同じく、園芸用の苦土石灰ではなくスポーツ用石灰を撒いておきました。

5/15(月)種蒔き

栽培用に耕しておいた土をひっくりかえしたところ、ポロンと一匹の幼虫が現れました。

(以下、幼虫の写真があります!)

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(拡大します。)

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カナブンの幼虫です。

カナブンの幼虫は堆肥などの腐った植物を餌にして、栄養がたっぷり詰まった糞をしてくれます。土壌を改良してくれる益虫ですので、写真を撮ったあとは優しく土に埋め戻しておきました。いい土にしてね。

無益な殺生を繰り返した昨年の私とは一味違います。

【豆知識】カナブンの幼虫とコガネムシの幼虫は、そっくりな見た目をしています。カナブンの幼虫は益虫ですが、コガネムシの幼虫は植物の根を食べてしまう害虫です。ですので、コガネムシを見つけたらすぐに退治しないといけません。見た目ではほぼ見分けがつかない両者ですが、簡単に見分けられる方法があります。カナブンは地上ではまともに歩けませんが、コガネムシは地上でも素早く歩くことができます。うにうにと鈍臭く動くのがカナブンスマートに動くのがコガネムシです。もし「この幼虫はどちらかな...」と悩んだときは、地表に出してみてくださいね。

育苗用のポリポットに、4~5粒ずつ種を植えました。昨年は土の被せが甘かったのか、雨に打たれて発芽前の種が露出してしまいました。昨年の反省を活かし、今年はこれでもかと上から土を被せておきました。

発芽を待ちます。

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たくさんの芽が出ますように。

◆ 4/25(火)もうすぐ始まります。

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気付けば4月ももう終わりです。既にGWのことしか頭にない日誌担当者ですが、室長にせっつかれて河内木綿栽培のスケジュールを決定しました。

当面のスケジュールは、以下の通りです。

  • 5月1週目 土作り、綿繰り
  • 5月2週目 植付け

昨年度に引き続き、同じ人間が日誌を担当することになりました。栽培はともかく、日誌は持ち回りだと思っていたので、モチベーションが...(無い訳ではないのですが...)。

栽培開始までにやる気を復活させて、今年度も意欲的に取り組んで参る所存です。

(そういえば、同時に栽培する予定の藍の種が雀に食べ尽くされてしまいました。早速ピンチです。)

今年度も、よろしくお願いいたします!

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