河内木綿について
河内木綿栽培日誌
はじめに
谷岡記念館の前で、かつて地域の伝統的な商品作物であった「河内木綿」を栽培しています。
当館での河内木綿の栽培は、今年で5年目となります。今年も昨年に引き続き、収穫した綿の種から育てます。
夏には黄色い花が咲き、秋には実がついて真っ白な綿を見ることができます。
みなさんもご一緒に成長を見守ってください。
栽培日誌
2024年度
◆12/3(火)企画展開催中です
本日の綿。
12月に入り、収穫も終盤に差し掛かっていますが、今朝もまたちらほらと綿が弾けていました。
今年は例年に比べ、収穫量が少ない気がします。暖秋の影響でしょうか。
徐々に枯れていく綿に、一年の終わりを感じる今日この頃です。
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幣館では10/23(水)から12/14(土)にかけて、秋季企画展「河内Moment―暮らしの中の美」を開催中です。
既にご来館いただいた皆様、関連イベントのワークショップ、連続講座、シンポジウムなどへご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
イベントも残すところ、12/10(火)の連続講座3回目、12/12(木)の展示解説2回目のみとなりました。
皆様のご来館・ご参加をお待ちしております!
タイトル:令和6年度大阪商業大学商業史博物館秋季企画展「河内Moment(もめん・と)―暮らしの中の美」 日時:10月23日(水)~12月14日(土)10:00~16:30(日曜休館) 会場:大阪商業大学商業史博物館 企画展示室(谷岡記念館2階) 入館料:無料 |
企画展の詳細は《こちら》をご覧ください。
また、12/7(土)には、幣館が所在する谷岡記念館において「アート&ジャズ ハーモニー~谷岡記念館でファクトリーアートとジャズを楽しもう~」が開催されます。
東大阪の「まち工場」で制作されたファクトリーアートの展示・トークショー、ジャズの生演奏など、さまざまなイベントが行われます。観覧席は事前申込制となっており既に完売しておりますが(12/3時点)、申込不要のイベントもございます。
本展のワークショップでもご協力いただいた河内木綿はたおり工房の中井様・河内木綿コットンクラブの高橋様による「河内木綿のどんぐりストラップ作り体験」もございます!(申込不要ですが先着50名様まで)
詳細は《こちら》(本イベントは大阪府・大阪文化芸術事業実行委員会が主催ですので、恐れ入りますが幣館へのお問い合わせはご遠慮ください)。
年末まで・・・駆け抜けましょう!
◆9/13(金)台風一過
そろそろ花がつかない鉢があったり、落ち葉も増えてきました。ワタの栽培も最終段階でしょうか。また台風が来るだろうからと鉢は元の場所にもどさないままです。
毎日ではないけれど、見ていると情がわいて、いろいろな考えがわいてきます。園芸レベルならこれでよさそうだけど、もう少し大きいグリーンボールにできないかな? 発芽率もあげたいし、来年度の配布用に収穫数は足りるかな?
というわけで、江戸時代のワタづくりの指南書『綿圃要務』を読んでみることにしました。
すると、これは改善したほうがいいかと思うところが、たくさん見つかりました。
特に気になったのが、土と肥料のこと。長年の習慣で行っているけれど、果たしてそれでよいのかと思ってはいたのですが、肥料の種類とほどこす時期、特にここ3年ほどほぼ同じ土に肥料をつぎ足して使っている。つまりは連作が続いている。つぎは土を新しくしないといけない。雨の時でも水をやったほうがいい!?
植える時期もちょっと遅い? 収穫方法にしても、ワタがもう少し緩んで形がくずれてから収穫したほうがいいようだ。ほっておくと風でおちて泥がつくし、来館者に配布するのに見栄えが良いかと早めにとっていたけれど、ワタ繰りしたときにワタと種がわかれやすそう。また栽培する土は砂が多い方が繊維が細くなるともある。
「都て(すべて)農作を勤めと思ひてハ大義也。我子を育る心ならざれバ、其利潤を得るにハ至らず」
(農作業を義務と思えば、それは面倒くさいものである。自分の子どもを育てるような心で励まなければ、利潤を得るまでには至らない。)
心を説かれるとつらいですが、「ごもっとも」とうなづいてしまいます。
日々の業務はなにかと合理化が叫ばれていますが、こと栽培に関しては、この心構えで、いや、学生に対しても同じ心構えが必要なんだろう。
現代と江戸時代の肥料や気候の違いはあるでしょうが、次回の課題にしたいと思います。(OK)
引用は「綿圃用務」『日本農業全書 15』農山漁村文化協会、1977年より
台風に備えて鉢を移動させたためいつもと写真の景色が違います。
しっかり乾いた展示室のワタ
◆8/20(火)夏期休暇中の変化
8月10日からの長期夏期休館が明けて、ワタの状態も大きく変化しました。
8月上旬には蒴ができ始め、休みの間にその蒴がはじけて一番ワタが吹きだし、ワタの株には花よりも蒴が目につきます。
夏期休館中は守衛さんに無理を言って水やりをお願いしています。
おかげさまで今年の夏もどうにか乗り切ることができました。
まだ花もちらほら見かけられますが、これから待望のワタの収穫が始まります。
さて、現在IWが10月23日から開催予定の秋季企画展「河内MOMENT―くらしの中の美(仮称)」の準備に余念がありません。このタイトルは、お気づきの方もあるかと思いますが、「moment」と「木綿・と」を掛け、河内地域の木綿と人との関わりをテーマにしています。ぜひ、ご期待ください。
猛暑を耐えて、収穫の秋へ!(IK)
◆7/31(水)ハマキムシ襲来
順調に毎日開花しているワタですが、とうとう例の虫がでました。ハマキムシです。
虫といえば、ハチもやってき始めました。つぼみの中を確認しています。ハチはハマキムシの天敵です。ハマキムシは葉ばかりでなく、つぼみや実にも被害をもたらすそうです。ハマキムシを退治してくれていたらいいのですが。
折れてしまった株は、脇から伸びた枝が1メートルを超えたので、また摘心しました。枝が密集するとハマキムシのいい隠れ家になってしまうので、少し鉢を離したり、葉を適度に切ったりしないといけません。
さて、秋季企画展の準備をすすめているところです。先日はカメラマンにきていただいて、ほぼ2日かけて史料の写真撮影をすませました。たくさんの史料をおみせすべく現在IWさんが頭を悩ませているところです。
楽しみにお待ちください。
千客万来!(OK)
◆7/17(水)開花・摘芯
もう7月も半ばを過ぎ、祇園祭も前祭の最終日です。
暑いさなかにワタの花が今年初めて咲きました。
開花が見られた一番背の高い株は優に1メートルを超えました。
一週間で30センチも伸びたので、思い切って15センチほど切りました。
ちょうど二週間ほど前になるでしょうか、朝出勤すると当時一番背の高かった株の枝が強風で折れていました。この株も側枝がすでに50センチを超える背丈になっています。
今年は発芽が悪く、水生栽培で発芽させた種をあわてて鉢植えにしましたが、その後植えの株もすくすくと育っています。
たくさんの実りを願ってこれから摘芯の季節が始まります。
暑い夏、成長の夏!(IK)
◆7/6(土)すくすくと成長中です
気付けばもう7月、とにかく毎日暑いですね...。いったい梅雨はどこへ行ってしまったのでしょう?
商大の構内では、わずかではありますが蝉の声も聞こえ始めました。早い!
当館のワタたちも、例年よりも小さいような気もしますが、すくすくと成長しています。
虫食い跡もちょこちょことありますが、毎年悩まされている天敵のハマキムシはまだ発生していません(おそらく)。
強く逞しく育ってくれるよう、化成肥料を撒きました。
水はけがいまいちなのか、土にうっすらと苔が生えているのが気になる。
ともにこの夏を乗り切ろう!(IW)
◆6/20(木)間引きしました
今年度の日誌は「...やりましょう...」のIKと「やるんですか」のIWと「やるならやらねば」のOKの三人体制で執筆します(「 」内はそれぞれの単なる口癖ですが、わかる人には歳がばれますね)。本日の報告はOKが担当します。
さて、ポットから植え替えしたワタですが、6月18日のひどい雨でまだ弱い茎がまがったりしつつも、10センチを超える高さになってきたので、そろそろ間引きと支えが必要な時期のようです。
毎年育てる鉢の数はIK氏の判断で(なんとなく)決まっていて、今年は10鉢。植える時期や間引き時期もなんとなくのようです。中森明菜が「恋も二度目ならもう少し器用に...」とうたっていても、うちはそうなんです。I'm an absolute beginner.♪
去年のことを思い返してみると、鉢は20鉢くらいと多く植えましたが、全体に花の数も少なく、実綿そのものはあまり大きく育ちませんでした。四つ割れではなく三つ割れが多かった印象もありますし、はじけ方に力がないようでした。しかし、そうなりそうなので、多く植えていたとしたら、それはそれで先見の明ですよね。
今年は米の不作が予想されていて、ワタの栽培も苦戦しそうです。気候、肥料の時期などいろいろな要素がからむのをどのように栽培するか、いかんせん片手間作業になりがちで収穫数や質の確保をめざそうにも知恵がまだまだ足りなくて、今からめげそうです。農業に従事されている方々にはほんとうに頭が下がります。
来週からは雨が続く予想でそろそろ梅雨入りでしょうか。今年はどんなふうに育ってくれるか、気をつけて見守っていきたいと思います。
今年は鉢が少なくさくっと作業が済みました。育ちの悪い4鉢はあとにして、6鉢のワタに支えを施してみました。選ばれし10本のワタたちよ、元気に育てよ。
この鉢では育ちが悪くても、他の鉢よりよほど元気なのですが、一つ選ばないといけない...。間引きは毎回悩みつつ行う。
今年の目標は「気楽に、注意深く!」(OK)
~おまけ~
秋季企画展の会期が決定しました。今年度は10月23日(水)~12月14日(土)の日程で開催します。会期中の関連イベントも着々と決まりつつあります。乞うご期待ください!
前の日誌でもお伝えした通り、今年度の秋季企画展は「河内木綿」をテーマにした展示を行います。この2週間ほど館内の一室を占領し、虫干しをかねて木綿布を広げつつ展示資料の選定をしていました。3000点を超える中から、皆さまに見ていただくものを厳選します。
上は型染の布団地です。中央の布は菊と牡丹の文様が華やかで美しいですね。河内木綿にはこのような吉祥文様を用いた布団地が沢山残されています。
上の写真は縞の布団地たちです。いずれも継ぎはぎだらけで、かなり使い古されています。詳細な年代はわかりませんが、この中で古いものは江戸時代後期~明治初期のものだと考えられます。今でこそ世の中に木綿製品はありふれていますが、かつて木綿布はとても貴重なものでした。こんなふうに端切れをつなぎ合わせて、ボロボロになるまで大事に大事に使い続けていたのです。(IW)
◆6/7(金)ワタの苗を植え替えました
5月中旬からポリポットで育てた綿の苗を鉢に植え替えました。
今年は苗の成長が思わしくなく、24個のポットのうち双葉が出たのが10個だけで、そのうち4個は元気がありません。
植え方が悪かったのかと思いきや、館内で活動をされている河内木綿コットンクラブの方が言うには、自分たちが育てている綿も発芽がよくないとのこと。今年は梅雨入りが遅れていますが、気候の変化もその原因の一つかもしれません。
念のために、先週から水に浸けて発芽させた種を追加で直植えしました。水生栽培の種はもやしのように色白で、しっかり育つかどうか心配です。
しかも、困ったことに、その鉢の中にセマダラコガネと思しき害虫を見つけました。
油断も隙もありません。(IK)
◆5/13(月)栽培日誌再開します!
大変ご無沙汰しております。
昨年7月から日誌をお休みしてしまい、楽しみにしてくださっていた方には大変申し訳ございませんでした。
担当者が木綿栽培日誌の執筆を放棄して何をしていたかと言うと、
『大阪商業大学商業史博物館資料目録 第16集』の刊行に向け、作業を進めておりました。
おかげさまで2024年の3月に無事刊行することができました。
本館所蔵の河内木綿とその他の繊維関係資料3,299点を収録しています。目録ですのでほぼ文字ではありますが、カラー図版も数点(4ページ)掲載しています。
本館事務室にて閲覧またはご購入いただけます。郵送販売にも対応可能です。
(郵送での購入方法についてはこちらのページをご覧ください。)
今年度の秋季企画展は、目録完成を記念し「河内木綿」に関連した展覧会を行う予定です。
こちらのページやX(旧Twitter)などでも随時情報を公開していきますので、乞うご期待ください!
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昨年度収穫した綿は例年よりも小ぶりな綿が多く、収穫量も減ってしまいました。猛暑のせいではないかと考えていますが、詳しい原因はわかりません。植物の栽培は一筋縄ではいきませんね。
少ないながらも収穫した綿を使い、今年度も栽培を開始します。
当面のスケジュールは、以下の通りです。
- 5月1、2週目 土作り、綿繰り(完了済)
- 5月3週目 植付け
今年度の木綿栽培日誌は、昨年度の失敗を踏まえ輪番制で複数名が執筆予定です。
今年度も、よろしくお願いいたします!(IW)