河内木綿について
河内木綿栽培日誌
はじめに

谷岡記念館の前で、かつて地域の伝統的な商品作物であった「河内木綿」を栽培しています。
当館での河内木綿の栽培は、今年で5年目となります。今年も昨年に引き続き、収穫した綿の種から育てます。
夏には黄色い花が咲き、秋には実がついて真っ白な綿を見ることができます。
みなさんもご一緒に成長を見守ってください。
栽培日誌
2025年度
◆6月3日(火)間引き
昨日間引きをしました。「これとこれを残す」と判断は早いのですが、後から考えるともう少し茎の様子を見ればよかったかと考えたりもします。 が、もう切ってしまったものは仕方がない。
「ごめんねごめんね」と「成長の悪い子だれだー」という二つの思いのせめぎあい。
先日の投稿にあるように追肥を入れる時期が遅すぎたかもしれないけれど、今ならまだ間に合うはずと肥料を施しました。いつも上に置くだけですが、蠅が寄ってくるので、丁寧に土をかぶせました。
油粕を埋めます。手袋を新調しました。経費でおちないかな。
先日見たNHKスペシャル「植物たちには『おしゃべり』をする能力が!?」によると、植物は葉を切り取られたり虫に食べられたりすると、仲間に危険をしらせる物質を放出するらしく、そうなると防御の遺伝子が動き出し、虫の好まない物質を出したりするそうです。そう考えると間引きも成長のよいものを選ぶというだけではなく、子孫を残さないといけないと植物にプレッシャーを与える作用があったりして。
上記の番組によると、地球上の生物の総重量のうち、人間、動物、微生物を足した重量は全体のわずか4.5%にすぎず、あとは全部植物だそうです。ときどき河内平野全体が農地だった頃の景色を想像してみることがあります。日本の田園風景の美しさの一つに田毎の月というのがありますが、河内ではコメの間にワタを植えていたらしいので、また今写真でみるような風景とは違っていたんだろうなあ。
これから十分に雨と陽を浴びてぐんぐん育ってくれますように。
今日の様子。きのうより心なしかおおきくなったような...。
今はともかく無事に育つよう祈るばかりです。(OK)
◆5月31日(土)植替え後の経過
ものの本にいわく、施肥は双葉が生えそろった時期に棒で約15㎝間隔(これは畑植えの場合)で綿の根の近くに3㎝~6㎝の深さの穴をあけて、そこに油粕をつまみ入れる、とあります。他の作物と違って、綿は肥料の入れ方が遅れたら枝葉が茂るばかりで、実の付き方が少ないのだそうです。
そういえばと思い、改めて栽培している綿の苗を見ると、もうすでに双葉から本葉がでています。こりゃいかん!と思っても、まずは間引きが先決。植替えの際に鉢底に緩効性肥料(マグァンプ)も入れたし、育て上げる株をしぼってから肥料をおくべし‼
りっぱな本葉が生えた綿の苗
しかし、昨年の日誌を見ると、鉢への植替えは6/9で、間引きは6/29と今年とは約20日間ぐらいの開きがあります。必ずしも、今年の栽培スケジュールが早いわけではないと思いますが、昨年の健やかな綿の成長を振り返ると若干の不安が......⁉
いずれにしても、ものの本によれば、「取わけ綿は肥しの仕様にて損徳大ひに違あるものなれば、其時々の肥を油断すべからず」ということだそうです。
こんなにのっぽな苗もあります。
ということで、さっそく来週、心を鬼にして間引きをします。(IK)
◆5月21日(水)植え替え
さて、いよいよ植木鉢に植え替えです。結局根付かなかったもの、虫にくわれたのか、肥料やけしてしまったのか、葉が枯れているものありますが、おおむねよく育っています。まずは、植木鉢の底に鉢底石を入れ、砂で埋めました。そのあと、肥料をまぜた土を入れ、そこに遅行性の肥料マグァンプをいれて、またしっかり植木鉢いっぱいに土をいれました。
毎年同じような写真ですが、さすがに堂に入っているのでは。
そのあとは苗を入れていきます。植木鉢は12個のところに、ポッド22個の育ちのよさそうな苗を入れていきます。せっかく育ったので、空いているところにも植えていきます。どうももったいないという気になってしまって。結局間引きの時に悩むことになるだけなのですが。
曇りの予想なので本日植え替えに決定したのに、案外日が照ってきて、早く作業を終えたい気持ちになります。もう少し本葉が出てくるまで待った方がよかったのか。あれやこれや、心配しつつ作業を続けます。
そのあと、散水栓から水ガメと大きなバケツに水をたっぷり入れて、それぞれの鉢に水をしっかりやって、植え替え終わり。夕方から雨だそうですが、雨が降っても水が足りていない場合もあるそうなので、帰りにもう一度様子を確認します。ここまで一時間半の作業、授業一限分です。さすがに疲れました。
今年は12鉢です。水はけはそれほど悪くなさそう。
大きく育ちますように。腰痛が出ませんように。(OK)
◆5月17日(土)発芽の経過
前回の日誌をあげてから既に一週間以上過ぎました。綿もかなり成長しています。しかし、いくつかのポットにはまだ双葉が出なかったり、葉が傷んでいたりする苗があります。今日は朝から本格的な雨模様で、雨に濡れた綿の苗は心なしかイキイキして見えます。 知り合いの河内の郷土文化サークルセンターの会員の方からは、今年は撒いた種の三分の一ぐらいが発芽しないという話を聞きました。家では水を入れたトレイに2・3日浮かせた種を、ポットに入れずにそのまま鉢に植えています。植えた綿の種が発芽しなかった場合に備えて、水を入れたトレイに浮かせた余分の種も置いておきました。鉢に植えた種は発芽して双葉になっていますが、例年より発芽に時間がかかったように思います。さらに、水生栽培の種は、まだ発芽している様子がないのです。今年の春は昼間は暖かいのですが、朝晩は比較的に肌寒い感じがします。植物もその気温の影響を敏感に感じ取っているのでしょうか。 当館では、21日にポットから鉢に植替えをする予定です。幸いに発芽にも大きな問題はなさそうなので、とにかく無事に成長することを祈っています。
種まきから2週間後の綿の苗
鉢の植替え21日決定‼(IK)
◆5月8日(木)芽が出てきました
連休明けに見てみると、おお、芽が出てきていました。楽しみだなぁと思いつつ、水をやると水のひけが悪いことにも気が付きました。もうすこし土に砂を入れたほうがよいようです。植木鉢に移すときに気を付けます。一つだけ葉が食われているようなのがあるのも気になります。鳥かなめくじか、気になるところです。トラップを仕掛ける必要があるか、少し様子をみることにします。
今年は発芽率がよいです。
担当者IKから、八十八夜の日付けを例年間違っていたと、さきほど告白されました。(OK)
◆5月2日(金)植え付け
4月30日にわた繰りをして種を水につけました。ものの本によると、「灰をまぶして小便につける」とありますが、そこまではできませんでした。とりあえず水につけて蓋をしておくと、2日には種のとがったほうを割って白い根がでてきているものがいくつかありました。いよいよ植え付けです。さてどんな風に育ってくれるか。
いつものようにポッド24個を用意し、それぞれに3個づつ植えました。
◆4月28日(月)土壌改良
今年も八十八夜が間近となり夜も暖かくなってきましたので、綿栽培の準備をしています。毎年、自宅でも鉢植えをしていますが、使用する土に関しては特に気にせず、買ってきた培養土を使っていました。もちろん水はけのために川砂を混ぜて使うのですが、柔らかくて肥えた培養土に植えると、成長は早いのですがひ弱な綿になり、根の張りも違うような気がします。やはり、真砂土に適量の腐葉土と川砂を混ぜた土が綿の成長には適しているようです。今日はその前段階として土に苦土石灰を混ぜ込む作業をしました。
雑草が生えた処理前の状態
草を抜き石灰を撒いた状態
石灰を土に混ぜ込んで均した状態
八十八夜前後には中和してほどよい状態の土が出来上がることでしょう。(IK)