2022年度の栽培日誌 | 河内木綿について | 大阪商業大学 商業史博物館

河内木綿について

2022年度の栽培日誌

◆3/31(金)今年度の収穫量

ひっそりとやっています、当館公式Twitter。

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遅ればせながら、今年度収穫した綿の総量を発表します。

今年度の収穫量は《735グラム》でした!

一昨年度の収穫量は168グラム、昨年度は1,042グラムでしたので、残念ながら2年連続の収穫量アップとはなりませんでした。

素人なりに減少の原因を考えてみると「摘芯の時期を先延ばしにして背丈が伸び過ぎてしまったこと」「昨年度と比較して施肥の回数・量が少なかったこと」の二つがパッと思い浮かびます。本学(大阪商業大学)の基本精神として「やるかやらんか迷ったらやる」という学長の言葉があるのですが、担当者(私)はやるかやらんか迷った挙句に後回し&やらなかったというわけです。曲がりなりにも本学職員であるのに、なんという体たらく。もちろん、植物の生育には環境要因が作用するため、他にも様々な減少原因があると想像できますが、上記の二点に関しては大いに反省しつつ次の栽培に活かしたいと思います。

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(バーチャル背景「やるかやらんか迷ったらやる!!」出典:大阪商業大学公式ページ

収穫量は減少してしまいましたが、今年度も無事に収穫まで辿りつけたことはひとえに応援・協力してくださった皆様、見守ってくださった皆様のお陰です。栽培日誌とは名ばかりの雑記ではありましたが、これまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

本日の一句、箕と笊に今年の棉はこれつきり(中田みづほ)

中田みづほ(明治26年(1893)4月24日‐昭和50年(1975)8月18日)はホトトギス派の俳人。ホトトギス派の俳句は「花鳥諷詠」、様々な現象を見たままありのまま客観的にうたいあげる姿勢が特徴です。

秋には背負籠にいっぱいになるほど収穫できた綿の実も、冬が近づくにつれて段々と少なくなります。ポツリポツリと遅れて弾けた綿を箕と笊に集め、今年の収穫はこれでおしまい。また来年の春には種を植え、そのうち花が咲き、実が生り、収穫へ...という過程が繰り返されます。日常の一場面をありのまま切り取った俳句ですが、そこに流れる時間、暮らしを想像させます。

◆12/27(火)木綿を撤去しました

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令和4年度秋季企画展「河内の豪農と文化的ネットワーク―今米村中家の学芸事情―」は12/24(土)で終了しました。ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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12/16(金)、記念館の玄関前に設置していたワタを撤去しました。

撤去後、すっきりとした玄関前。

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4月、入職とほぼ同時にワタの担当を命ぜられ、右も左もわからない状態で始まった河内木綿の栽培。

観葉植物を幾度となく枯らしてきた担当者は不安でいっぱいでしたが、周囲の方にも助けられながら何とかここまでやってこれました。

無事に綿花の収穫もできました!

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木綿を撤去したため、5月以降朝夕の日課としていた水やりをする必要が無くなりました。

(夏休み中は守衛さんに水やりを代わっていただきました。その節はありがとうございました。)

担当者は異様に蚊に刺されやすいため、夏場は水やりのたびに複数箇所を刺されてしまい痒みとの戦いでした。刺された痕はいまだに消えません。もう水やりをしなくていいのかと思うと、せいせいするような、寂しいような...。

初めて芽が出た日、花が咲いた日、朔が生った日、収穫した日、いずれもはっきりと思い出せます。

しみじみ。

来年は誰が木綿栽培の担当になるのか不明ですが、もしまた担当になったなら次こそは夏場の水やりの際、必ず、絶対に、虫除けを忘れないようにします。今年の反省点はそれだけです。

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在りし日のワタたち(6月末頃)。また来年、会いましょう!

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撤去の段階で弾けていなかった朔を、記念館の4階で乾燥させています。

小さな小さな朔も捨てられず残してしまったので、実際に弾けそうなものは三分の一程度でしょうか。

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約10日経過し、大きめの朔はちらほらと弾けていました。

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全て弾けた後、今年の総収穫量を発表します。

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藍もよく頑張りました。あとは来年春の植え付けに向けて、種を採っておくだけです。

本日の一首、世中にねたほどらくはなきものをしらてあほうが起てはたらく

(世の中に寝たほど楽は無きものを知らで阿呆が起きて働く)

今回は俳句ではなく狂歌を。江戸時代の俳人・横井也有(1702-1783)による俳文集『鶉衣』「蔵人伝」の中に現れる一首です。「蔵人伝」の内容を簡単に説明すると《とある蔵人が上記の狂歌「世中にねたほどらくはなきものを・・・」に対して「はたらかで起きて居る身の気楽さよ寝てもあほうは物おもふ世に」と返し、それを聞いた大将が感服して「物ぐさの蔵人」という名を与え、人々から「なまかは(なまけるの意)の蔵人」と呼ばれるようになった》という話です。この話の後には寝てや楽起きてや安き雪の竹(重い雪が降り積もった竹は寝ている方が楽なのだろうか、それとも起きている方が気楽なのだろうか)」という俳句が続きます。ちなみに「蔵人伝」は鎌倉時代の説話集『十訓抄』や『今物語』にある「物かはの蔵人」「やさし蔵人」という教訓説話を基にしたパロディーで、「物かはの蔵人」をもじって「物ぐさの蔵人」としています(『十訓抄』の内容を書くと長くなってしまうので興味のある方は検索してみてくださいね)。

江戸時代には「世の中に寝るほど楽はなかりけり浮世の馬鹿は起きて働く」などのよく似た狂歌がいくつか残されています。江戸時代のぐうたらな人々に親近感を抱きつつ、あほうな担当者は今日も起きて働いています。明日からは少しラクをして、新年は1/5(木)からまたあほうになります。

皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

(2023/1/5 狂歌の解説を追記しました。)

◆11/4(金)藍の花が咲いています&虫の話

展覧会のお知らせ

令和4年度大阪商業大学商業史博物館秋季企画展「河内の豪農と文化的ネットワーク―今米村 中家の学芸事情―」

  期間:令和4年11月7日(月)~12月24日(土)

開館時間:10:00~16:30

 休館日:日曜日(11月23日(水・祝)は開館)

 入館料:無料

  会場:大阪商業大学商業史博物館 2階企画展示室

大和川付け替え運動の中心的役割を担った河内郡今米村庄屋中甚兵衛家のご子孫にあたる中九兵衛(好幸)氏より寄贈をうけた同家伝来資料をもとに、河内の豪農の文化活動、国学者や俳諧師との交流などを探る展覧会です。

関連イベントとして、シンポジウム、連続講座(全3回)、当館学芸員による展示解説を予定しています。申込方法などの詳細はこちらから。ぜひご参加ください!(※連続講座はご好評につき全日満席となりました。お申込みありがとうございました。)

図録も完成しました!税込1,980円です。当館事務室にてご購入いただけます(郵送にも対応しております、お問い合わせはメールかお電話で)。

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皆さまのご来場を、心よりお待ちしております。

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藍に花が咲きました。小さくて可憐なピンク色の花です。このあと種を収穫し、また来年の春に植える予定です。

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綿の収穫はひと段落し、新たな蕾や花、朔がつき始めています。下の写真右が8月頃に収穫した綿、写真左が10月に入ってから収穫した綿。明らかに大きさが違います。

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葉も花も朔もミニチュアでとても可愛らしいのですが、もっと大きく元気に逞しく育って欲しい気持ちを込めて鶏糞を追加してみました。

\大きくなりますように/

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9月末頃からまたしてもハマキムシ(ワタノメイガの幼虫)が大発生してしまいました。周囲の葉をすべて食べられてしまい、あっという間に丸裸にされた哀れな朔。

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ハマキムシはくるくると丸まった葉の内側に隠れています。繁殖スピードが速く、放っておくと葉が食べつくされて枯れてしまいます。殺虫剤で一網打尽にしたいところですが、地道に手で潰して駆除しています。

春から夏にかけて毎朝のように見かけたアシナガバチは、ハマキムシを団子にして食べてしまうそうです。「最近アシナガバチを見ないな~」と呑気に思っていたらハマキムシが大発生しました。天敵の不在により幅を利かせている様子がなんとも憎たらしいです。

(以下、虫の写真がたくさん出てきますので、苦手な方はご注意ください。)

すっかり秋になり、ハマキムシに限らずさまざまな虫が当館のワタを訪れています。以下は虫を愛する室長による、虫写真コレクション(の一部)です。

(写真左から)蝶、バッタ、テントウムシ

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先日の朝、水やり用の雨水をためている甕の中でとても大きな蜘蛛を発見しました。全長では10センチ以上ありそうです。

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ただでさえ縁起が良いと言われる朝蜘蛛ですので、これほど大きく立派な蜘蛛ならば尚のこと縁起が良いのでは!調べたところ「コアシダカグモ」といい、ゴキブリやムカデ、蛾などの害虫を捕食してくれる蜘蛛のようです。ぜひともワタノメイガをたくさん食べていただきたい。アシナガバチに代わる活躍を期待しています。

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このように日誌上で散々虫の話をしている担当者ですが、虫を愛する気持ちは室長のように強くありません。

数えきれないほど伊丹市昆虫館へ通い(担当者は伊丹市出身)、虫かごを抱えて走り回るような小学生時代を過ごしたのに、いったい何が変わってしまったのか。遠く離れてしまった虫との心理的距離の原因を探ってみると、以下のような研究が見つかりました。

東京大学の研究(進化心理学に基づいた仮説)によると、虫嫌いの原因の一つは「都市化」にあり、病原体を避ける行動をするための心理の適応であるという「嫌悪感の病原体回避理論」と、本当は危険ではないのに危険であると判断してしまう(「偽陽性」というそうです)の「エラーマネジメント理論」に基づくとのこと。*1

(大きな声では言えませんが「結婚相手に求める条件1位は「清潔感」(54.7%)」*2に通じるところがありそうです。)

この理論の真偽はさておき、私が分別のあるつまらない大人になってしまったことは間違いありません。偏見や嫌悪感がある種の「思い込み」から生じているとすれば阿呆らしいことこの上ない気がしますが、進化という大きな流れの中では抗いようがないのでしょうか。

また、上の研究発表では「虫の識別能力が低下することによって、多くの虫を嫌悪するようになる」という結果も示されていました。「嫌悪感の病原体回避理論」と「エラーマネジメント理論」が生得的なものか、あるいは後天的に得られるものかはわかりませんが、「識別能力を向上させる」という更なる経験(知識の習得)によって乗り越えられるならば希望が持てます。

タブラ・ラサ(白紙)のような心で虫や世界を見つめることができたら...。記念館の外庭で落葉拾いに興ずる幼稚園児たちを眺めながら、そんなことを思っていました。

本日の一句、むざんやな甲の下のきりぎりす(松尾芭蕉)

『奥の細道』から一句。加賀国(石川県)の多太神社で、源平合戦の篠原の戦いで討死した平家方の老将・斎藤実盛の甲を見て詠んだ句です。言うまでもありませんが、初句の「むざんやな」は関西弁ではなく「なんといたわしいことだ」という詠嘆です。謡曲『実盛』の一節「あなむざんやな」から取り入れたようです。きりぎりすは今でいうコオロギのことで、ざっくり訳すと「とても気の毒だなぁ、(実盛の)甲の下で今はコオロギが悲しげな声で鳴いているよ」となります。先の話とこじつけて、もし仮に芭蕉が甲の下の虫をコオロギ(当時でいうきりぎりす)だと識別できなかったならば、この句はうまれていないでしょう。

*1 東京大学プレスリリース"なぜ現代人には虫嫌いが多いのか? ―進化心理学に基づいた新仮説の提案と検証―"https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20210312-1.html#:~:text=%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E5%88%86%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82(2022.11.3参照)
*2 QOM総研"「結婚相手に求める清潔感」に関するアンケート調査"https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000420.000006313.html(2022.11.3参照)

◆9/9(金)綿の実が弾けました

8/19(金)、今年初めて綿花(コットンボール)を収穫しました!

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下の写真は、本日9/9(金)迄に収穫した綿たちです。

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ここから綿を一つ掴んで両手の手のひらでそっと包み込むと、小さなハムスターを抱いているような気分を味わうことができます。
疲労困憊の毎日に小さな癒しを与えてくれる、エアペット遊びです。疲れてもう何もしたくないときにオススメですよ。

\台風にも負けず、頑張っています!/

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本日の一句、棉吹くや河内もみゆる男山(野沢凡兆)

凡兆(1640?-1714)は、蕉門の俳人です。金沢から京へ出て医業をしていた時に、在京の芭蕉に出会いました。芭蕉の熱心な指導のもと、同じく蕉門の向井去来とともに俳諧撰集『猿蓑』(1691年刊)を共撰しています。

凡兆の句が詠まれた当時、河内一帯は木綿の一大生産地でした。
貝原益軒の『諸州めぐり南遊紀行』(1689年刊)には「凡河内国は木綿を多くうふ。山の根(国府の北の山下の村々、京都から紀州への大道)の辺殊におほし。畠持ちたる者は余の物を作らず、悉くきわたをうふると云。此辺もめんをおほく織いだす。 山根木綿とて京都の人是を良しとす。」と書かれています。河内の木綿は京都でも評判の名産品でした。
綿の実が熟して、割れて中から白い綿が吹き出ることを「綿吹く」と言います。そして綿吹く頃、木綿畑は白い綿花に覆われて一面が白くなります。京都の男山から南西側を見下ろすと、河内の白い木綿畑を望めたのでしょう。さわやかな秋の情景が目に浮かびます。

◆7/30(土)藍の生葉染め

当館でワタと一緒に育てている蓼藍の生葉を使って、ステンシル染めを行いました。

早速ですが、完成品です。

川崎巨泉のおもちゃ絵「嫁入人形」

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木綿資料の文様から、カイワレ大根のような「トンボ」、「雀」

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「四葉」カタバミ?

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「トンボ」と「千鳥」

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失敗作、ゾンビ化した商ちゃん(布目が粗い&染液の水分が多いと、このようにボヤけてしてしまいます。)

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ステンシル染め経験者の室員Nさんにレクチャーを受け、初体験でしたが想像以上に上手くできました。

今回行ったステンシル染めのやり方をご紹介します。3月頃に蓼藍の種を植えれば、6月7月には生葉染めが体験できますよ。

【ステンシル染めのやり方】
① 綿100%の布を用意し、中性洗剤で洗います。【精練】
② 2倍に薄めた無調整豆乳に30分ほど浸して、シワにならないように干します。【濃染処理】
③ しっかり乾いた布にステンシル用の型紙(今回はクリアファイルで代用)を置いて固定します。
④ 藍の葉を摘み、サッと水洗いします。
⑤ 葉をすりこぎで擂ります(10枚ほど)。
⑥ 出てきた染液を、摺込刷毛等で③へポンポンと刷りこんでいきます。水分が少ない場合は水を足してもOKですが足しすぎると滲みます。
⑦ 色が付いたら15分~30分ほど空気にさらします。
⑧ 水(1リットルに対して塩と中性洗剤を大匙1)に15分ほど浸します。【色止め】
⑨ よく絞り、陰干しします。

製作中の様子と、染めたての状態。月の光に照らされた兎のようで、趣があるNさんの作品です。

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綿や麻などの植物性繊維を濃く染め上げたい場合、②の濃染処理を行います。今回、担当者は無調整豆乳で処理を行いましたが、室員Nさんは牛乳石鹸で①②を同時に行っていました。豆乳を使うと色止め後もしばらく大豆臭が残存しますが、牛乳石鹸を使えば臭くならず、処理の手間も省けて一石二鳥です。仕上がりや色落ちも問題ないようです。

下は昨年Nさんが染めた商ちゃんハンドバッグ。今まで何度か洗濯したそうですが、綺麗な色がしっかりと残っています。染めたばかりの暗めの青緑色から、薄い縹色へ。色の変化も楽しめそうです。

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写真左が今年染めた商ちゃん、右が昨年の商ちゃん

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本日の一句、さはやかに身は藍くさし衣がへ(和風)

柴田宵曲『古句を観る』(岩波文庫)から一句。元禄期の無名作家の俳句を集め、評釈を加えた本です。

俳句・連歌における「さはやか」は秋の季語、「衣がへ」は夏の季語。一般的には、句の中で季語が重なること(季重なり、季違い)は好ましくないと言われているようですが、松尾芭蕉の句にも季違いがありますますので、絶対にタブーというわけではないようです。ということで、この句の場面は五月五日の衣がえと仮定します。夏に向けて、袷から涼しげな単衣に着替えるところです。

江戸期には、毎年決められた日に衣がえ(更衣)を行う風習がありました。
・ 旧暦四月朔日から五月四日迄「袷小袖」
・ 五月五日から八月晦日「帷子麻布(単衣)」
・ 九月朔日から九月八日「袷小袖」
・ 九月九日から三月晦日「綿入小袖」
(『俚言集覧』1797年頃刊)

伝統的な技法による藍染めでは、染液をつくる過程で藍を乾燥・発酵させるため、独特の臭気が発生します。堆肥や土、鉄のような臭いと表現されることがあります。染めたばかりの布からはその臭いがするそうですが、乾燥させて時間が経つと軽減します。「藍くさし」とあるので、染めてから日が浅い着物なのでしょう。下ろし立ての単衣にサッと袖を通す姿が想像できます。情景を目に浮かべただけで、さっぱりとして気持ちがいいですね。

◆7/28(木)ほとんど余談

休み明けの25日(月)の朝、覇気のないワタと藍の姿です。

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全体的にしんなりしているのが、写真でも伝わるでしょうか。心なしか鉢植えの向こう側にいる二宮金次郎像も元気がありません。

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藍は特にシワシワ状態でした。(この後、たくさん水をあげて復活してくれました。)

休み中に雨が降らなかったために、鉢の水が涸れてしまいました。夏季休暇中は守衛さんに水やりをお願いする予定ですが、それ以外の休日はなんとか持ち堪えて貰わねばなりません。「ペットボトルの自動水やり器が便利だよ」と教えていただいたので、早速試してみる予定です。

\葉っぱはシワシワでも、お花は満開です/

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そういえば、鉢の土にまたしても猫の足型を見つけました。ワタが急激に大きくなったため、もうひっくり返されることはないだろうと思い猫除けを設置していませんでした。早くもネタ切れ感の否めないTwitterに掲載したいので犯行現場の写真を撮影したいのですが、なかなか姿を現してくれません。残念です。

本日の一句、化物の正体見たり枯れ尾花(横井也有)

尾張の俳人・横井也有(1702-1783)が、松木淡々*1と初対面した時の俳句だと伝えられています*2。也有が淡々を訪問した際、淡々は緞子の蒲団に繻珍の夜着(緞子も繻珍も高級な織物)を被り、厚化粧の女に支えられながらやっと起き出てきた上に、也有に詫びも入れず挨拶すらまともにしませんでした。その無礼極まりない態度に憤慨した也有が去り際に「化物の―」と口吟した、という逸話が残されています*3
この俳句が時代を経て、いつしか「化物」が「幽霊」へとすり替わり「幽霊の正体見たり枯れ尾花(幽霊だと思っていたら風に揺れる枯れススキだった。恐れていた人や物の実体は、確かめてみると少しも怖いものではなかった、の意)」という諺になりました。今では元の句より「幽霊の―」の諺の方が有名かもしれません。

「7月26日は《幽霊の日》」という情報を目にしたためこの俳句を紹介しようと思ったのですが、うっかりしていて投稿日が2日遅れてしまいました。何故「幽霊の日」かと言うと、1825年の7月26日に江戸中村座で四代目鶴屋南北作の歌舞伎「東海道四谷怪談」が初演されたことに由来するそうです。

今週の担当者は諸事情により月曜日から日曜日までの7連勤、現在はその真っ只中にいます。まさに河鍋暁斎の幽霊画のような面持ちで当館内や周辺を徘徊していますので、もし見かけた場合はそっとしておいてくださいね。「恐れていた7連勤も終わってみれば楽勝だったわ~」と言えたらいいな、そんな思いです。

*1 松木淡々(1674-1761)は通俗的な俳句で一世を風靡し享保の上方俳壇に君臨した人物です。大坂西横堀阿波屋に生まれ、江戸、京都、大坂の堺に移り住みました。商才に長け伝授書を乱発して財を築き、贅を極めた暮らしぶりをしていたと言われています。
*2 横井也有著, 武笠三校注. 付録. 鶉衣. 光風館, 1911, p. 23.
*3 堺市編. 堺市史第七巻. 堺市, 1930, p. 379.

◆7/22(金)花の色

本日22日(金)のワタ。

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摘芯したものの、まだ草丈が伸びています。鉢の高さ(約30センチ)を含めると担当者の背丈を超えてしまいました。背が高くなりすぎたせいか苞もいくつかポロポロと落ちていますが、今のところ元気そうなので良しとします。

花の色について

ワタの花弁は淡い黄色ですが、萎れるころには桃色に変わっています。

↓開花当日の花

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↓開花翌日の花

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どちらの色も可愛いことには違いありませんが、いったい何故このような変化が起こるのでしょう?

調べたところ、色の変化は「アントシアニンの生合成」によるものだそうです。

アントシアニンは花弁や紅葉した葉などに含まれる植物色素の一種で、含有量が多くなるほど色が濃く鮮やかになります。

アントシアニンの生合成のメカニズムについては「光、温度、乾燥、浸透圧などの環境要因も(中略)影響を及ぼすが、その仕組みはよく分かっていない(『農業技術事典 NAROPEDIA』農業・食品産業技術総合研究機構)」とのこと。

世界にはまだまだ不思議がいっぱいありますね。

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\本日も元気に開花中/

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本日の一句、閑さや岩にしみ入蝉の声(松尾芭蕉)

大学本館前の大きな樹には蝉がたくさんとまっています。おそらくクマゼミですが、群集して競うように鳴く声があまりにも五月蠅く、傍を通るたびにげんなりしています。特に午前中、晴れている日は凄まじいです。「蝉時雨」というには激し過ぎる、豪雨のように猛烈な蝉の声が頭上から降り注ぎ、声以外には何も聞こえません。その空間から眺める向こうの景色は、対照的にとてもひっそりとしているように見えます。成程、やかましいけれど「閑だなぁ」などと感じるわけです。

◆7/19(火)摘芯

連休明けの本日。先週末予定していた摘芯(先端の芽を摘み取って伸長を抑制すること)を先送りにしたために、二つの株が草丈100cmを超えました。90cm超えもぞろぞろと。

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既に大きくなりすぎた感は否めませんが、90cmを超えた株のみ摘芯を行いました。

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先端の芽(頂芽)を摘み取ると、背を伸ばすために使われていた栄養が脇芽に向かうようになり、花実の成熟を促進させると言われています。また、株のボリュームも増加するので、台風などの強風で折れてしまうリスクも低減できます。

「細く長く」から「太く短く」へ。

***

植え付け以降の成長記録、まとめ

6/3(金)植え付け当日。こんなに小さな苗でした。

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6/10(金)同じ鉢の苗。まだまだ小さいですね。

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6/17(金)こんな時代もあったねと...。

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6/24(金)強風でなぎ倒されても負けません。この日に間引きをして、支柱を立てました。

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何故か7/1(金)の写真が見当たらないので、7/2(土)。

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7/8(金)、5日(火)に撒いた肥料のお陰か一気に伸びました。

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7/15(金)まだまだ伸びます。

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そして本日7/19(火)摘芯前の姿。90cm超えです。

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植え付けから約1か月半、こんなにも大きく育ってくれました。つぼみも沢山ついています。これがフワフワの綿になると思うと、今から楽しみで仕方ありません。

\本日もお花が沢山咲いていますよ/

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今週中に、ワタと一緒に育てている藍を使った生葉染めに挑戦する予定です。その模様も日誌上でお伝えできればと思っています。

連休明け、がんばりましょう。

◆7/13(水)開花しました!

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昨日12日(火)ついに、ついに、開花を確認しました!

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開花第1号、薄黄色の可憐な花です。

本日13日(水)も、続々と開花しています。

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一度折れて復活した小柄なワタにも花が付きました。一丁前です。

こんなに可愛いワタの花ですが、開花から一日ほどで萎れてしまいます。本日咲いた花は、明日にはもう見ることができません。なんて儚いのでしょう。

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一番背の高いワタは90cmを超えました。花付きを良くするために、近いうちに摘芯(これ以上背が伸びないように芽の先端を摘み取る)予定です。

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またしても、ワタノメイガ(通称、ハマキムシ)が発生しました。

(今回も、下に幼虫の写真があります)

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ハマキムシを駆除する際、室長が「疲れたので気分転換に...」と言いながらやってきて、捕まえた幼虫を容赦なく踏み潰したところがとても印象的でした。気分転換になったのなら、何よりです。

ハマキムシは、よく見るとなかなか愛らしいフォルムをしています(気になる方は「ワタノメイガ 幼虫」などで検索してみてくださいね)。掌に乗せて眺めていると、短い脚をパタパタと動かす姿が可愛らしく見えてきて、生きたまま逃がしてしまいました。
「情けは人の為ならず(人に対して情けを掛ければ、巡り巡って良い報いが返ってくるの意)」と言いますが、かえってくるのは良い報いではなく、ハマキムシかもしれません。

本日の一句、綿の花たまたま蘭に似たるかな(山口素堂)

山口素堂(1642-1716)は江戸前中期の文人です。松尾芭蕉が無名の頃から親交を結び、二人で俳諧書『江戸両吟集』を発表しました。

俳句中の「蘭」については、日本の野生蘭「ガンゼキラン(岩石蘭)」ではないかと想像しています。ガンゼキランは淡い黄色の花びら、中央に褐色の唇弁を持ち、遠目に見るとワタの花に似ています。古くは本州の一部、四国、九州で多く生息していましたが、乱獲のため個体数が減り、見かける機会が少なくなりました(環境省の絶滅危惧2類)。
この俳句が詠まれてから既に300年以上が経過し、景観や生活は大きく変わりました。素堂が十七音の中に収めた情景を想像することはできますが、その鮮やかさ、瑞々しさは全く違っているのでしょう。そこに一抹の寂しさを感じます。

◆ 7/7(木)花芽分化

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7日(木)本日、一番背が高いワタは50cmを超えました。

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少し日が戻りますが、4日(月)には「花芽」が確認できました(花芽分化)。

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(2日(土)の写真でも、見返すとそれらしきものが見えるのですが見過ごしてしまいました。)

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写真中央が花芽です。この花芽がつぼみになり、花が咲き、実がつき、やがてフワフワのコットンボールになります(花芽分化について気になる方は昨年6/23の日誌をご覧ください。昨年の日誌はこちら)。

花芽がついたということは、「個体を維持する」段階から「子孫を残す」段階へ移ったということ。まだまだ子どもだと思っていたのに、もう子孫だなんて。ワタを「子」とするならば、綿の実は「孫」でしょうか。スピード感についていけませんね。

看板が直撃して折れたワタのうち一つは、周囲のワタに比べて二回りくらい小柄ですが生き延びています。いつの間にか、株の大きさに見合わないほど立派な花芽がついていました。

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今の複雑な心境を例えるならば「社会に出たばかりの娘(三姉妹の末っ子)から結婚と妊娠の報告を同時に受けた」、そんな感じを想像しています。(※個人の感想です)

折れたもう一方のワタは、間もなく枯れてしまいました。とても残念ですが、仕方ありません。

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枯れたワタを抜いたあとの空虚な鉢が勿体ないように思えて、茂り過ぎていた藍を株分けして植え付けました。

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このワサワサ(上の写真)が、こうなりました(下の写真)。

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生葉での藍染めをするのであれば、今の時期には葉を収穫した方がいいそうです。来週あたり、藍染めに挑戦してみようと思っています。

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本日7月7日は世間一般の七夕です。が、本来の七夕は「太陰太陽暦の七月七日」です。

国立天文台のウェブサイトによると「二十四節気の処暑(太陽黄経が150度になる瞬間)を含む日かそれよりも前で、処暑に最も近い朔(新月)の瞬間を含む日から数えて7日目が伝統的七夕(本来の七夕)の日」だそう。したがって、2022年は8月4日が本来の七夕となります。俳句でも「七夕」は秋の季語です。

七夕で願う内容について「手技の上達を願うのが正しい」といった意見もありますが、七夕自体がすでに形骸化している行事ですので自由に好きなことをお願いしたいと思います。私の願いはただ一つ、休日の増加...ではなく来館者の増加です。

本日の一句はお休みです。次回をお楽しみに。

◆ 7/2(土)ただただ暑い。

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週明け、6月27日(月)のワタと藍。

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週末、7月2日(土)本日のワタと藍。順調に成長しています。

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今朝はまたしても、何者かによって鉢の土が掘り返されていました。

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写真赤丸で囲んだ箇所の土がごっそりえぐられて、地面に落とされています。最近、鉢植えのあたりや付近の建物で猫臭がしていたので、犯人は猫で間違いないでしょう。どんなに可愛い猫ちゃんでも、ワタの害となる存在を赦すことはできません。

「2022年コロナ禍のネコノミクスは約1兆9,690億円(関西大学プレスリリースより)」という情報に心が揺れ、犯行現場をいい感じに撮影して当館の宣伝に利用したいという卑しい気持ちから犯人ならぬ犯猫を泳がせることも考えました。ですが、ワタの鉢を荒らされたのは今回が初めてではないため、呑気に構えている場合ではありません。

令和2年6月1日改正の「動物の愛護及び管理に関する法律」によると「愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられます。また、愛護動物を虐待又は遺棄した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます」とのこと。つまり、猫除けグッズ(とげマットや忌避剤)の使用はOKですが、毒餌や罠で猫を傷つける・苦しめる行為は当然ながらNG(法律違反)です。さらに、傷つけた猫がどこかのお宅のペットだった場合には「不法行為責任(民法第709条)として飼い主へ慰謝料を支払う」可能性もあります(法律以前に倫理道徳の問題です、絶対にやってはいけません)。

どちらかというと犬派の担当者にとって猫が犯した罪は赦しがたいものですが、ここは法治国家日本ですので、日本国の法律に則り、広い心(忌避剤の散布)で対処したいと思います。

本日の一句、乱心のごとき真夏の蝶を見よ(阿波野青畝)

阿波野青畝は奈良県出身の俳人です。炎天下をひらひらと舞う蝶の姿は、いささか正気ではないように見えます。「災害級の暑さ」の中で平常通りの生活を送る我々も、どことなく、真夏の蝶に似ています。

(内容を一部修正しました。7/4)

◆ 6/28(火)間引き

早くも梅雨が明けてしまい、通勤だけでヘトヘトになる季節がやってきました。

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27日(月)朝の藍。水不足で全体的に萎れてしまい見るからに元気がありません。出勤時点で疲労困憊の我が身を重ねてしまいます。

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間引きました

24日(金)の朝、鉢のそばに置いていた立て看板が強風によって倒れ、ワタに直撃して茎がポキリと折れ曲がってしまいました。

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汗だくになりながらようやく辿り着いた記念館で上の光景が目に入り、あまりのショックに意識が朦朧としました。とりあえず、折れ曲がった2本の苗には割り箸をあてがい、様子を見ることに。
(28日(火)現在、折れてから4日経過しましたが2本とも生きています。素晴らしい生命力です)

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看板の直撃を免れたワタたちもみんな強風でなぎ倒されてしまいました。背は伸びてきたもののヒョロヒョロとして頼りないワタたち。斜めになった姿はマイケル・ジャクソンのゼロ・グラヴィティを彷彿とさせます。

もっと強くたくましく育ってもらうために、早急に間引きを行い支柱を立てなければ...。

元気な苗を切り取るのがどうしても可哀相に思えてしまい、室長に間引きを押し付ける、ではなく代わってもらうことも考えましたが、社会人としての自らの立場諸々を勘案した結果やはり自らの手で行うことにしました。担当者としての矜恃もあります。

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一つの鉢に一つの苗。景観も幾分すっきりとしてしまいましたが、残ったワタたちがのびのびと育ってくれると信じています。

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本日の一句、念力のゆるめば死ぬる大暑かな(村上鬼城)

厳しい暑さのことを「大暑」とも言いますが、二十四節季の「大暑」は7月23日(土)。ちょうど、現在開催中の企画展【秘蔵の大阪画壇展 第2弾】最終日と同日です。近年の夏の暑さは念力をゆるめなくても死にそうですね。みなさま、熱中症にはくれぐれもお気を付けください。

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お知らせ

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◆ 6/21(火)植え付けから2週間

3日(金)に鉢へ植え付けてから、早くも2週間以上が経過しました。お待ちかねの成長記録です。

↓6日(月)植え付け3日後のワタと藍

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↓10日(金)植え付けから1週間、肥料「醗酵油かす」を撒いた翌日

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↓17日(金)植え付けから2週間

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↓本日21日(火)のワタと藍。雨に濡れて生き生きと輝いています。

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↓6日(月)と21日(火)を並べると、違いがこんなにも!

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9日(木)頃に醗酵油かすを撒いたところ、翌週からグンと背が伸びました。6月に入りハマキムシに食べられたり、植え付け時に鉢が割れてひっくり返されたり、猫にイタズラされたりと不運なトラブルに見舞われたワタたちでしたが、負けることなく育っています。

↓17日(金)と21日(火)のワタ。4日間でこんなに成長しました。

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成長の喜びに浸っていたところ、室長から「いつ間引きしますか?」と尋ねられました。げんなりしてしまいましたが、過去の日誌を読み返すと確かに6月中旬頃には間引きをしていたようです。一所懸命に茎を伸ばし葉を広げてきたワタたちを選別して「用済みだから」と切り落としてしまうなんて、想像しただけで情緒不安定になりそう...。

ストレスを低減する機能があるという「γ-アミノ酪酸」が配合された「メンタルバランスチョコレートGABA」を食べながら、渋々間引きの日程を考えていると、ふと、フランツ・カフカの小説『変身』が頭をよぎりました。不要なワタがいなくなり生き残ったワタたちはきっと、グレゴール・ザムザの妹のように美しくふくよかになるのでしょう。

***

話は変わりますが、油かすを撒いた後、ニオイにつられて鉢にハエが集るようになりました。

「ハエは通常、羽化後4~5日してから産卵を開始。1回に50~150個、一生に500個の卵を産みます。卵は乳白色・長楕円形で、1日足らずで孵化。幼虫は早くて約1週間で成熟し、乾いた場所に移ってさなぎになります。さなぎの期間は4~5日なので、卵から成虫まで2週間足らずです(引用元:アース 害虫駆除なんでも事典)」とのこと。恐るべき繁殖力です。

ということは、現在、油かすの内部もしくは周辺に蛆虫が蠢いているのでは。そんな光景を想像してワクワクしながら油かすをいくつか崩してみましたが、ただただニオイが酷くなるばかりで、蛆虫の姿は一匹も見えませんでした。

日誌のネタにできず残念です。

間引かずとも成長させる手立てがあればいいのですが。

◆ 6/11(土)後編、植え付けしました

ハマキムシを発見してから一週間が経過しました。油断は禁物ですが、駆除剤の効果か影も形もなくなり一安心です。
隠れていたハマキムシに気付いた時は、嘆きと怒りで気が狂いそうでしたが、今週は心穏やかに過ごすことができています。というのは嘘で、休みのあいだに猫(たぶん)に鉢植えを掘り返されて苗を地面に落とされてしまい、週明けから相も変わらず怒っていました。来週こそは、心の安寧を取り戻したいです。

***

時差投稿となってしまいましたが、6月3日(金)におこなった植え付け作業のご報告です。

↓3日(金)朝、植え付け前のワタたち。

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今回、室長が100枚近く作業中の写真を(動画も)撮ってくれました。せっかくですので、いつもより写真多めにお送りします。

力仕事がたくさんあるため、アミューズメント産業研究所から助っ人が来てくれました。
(下の写真は、室長からのポージング指示が入った為か不自然なカメラ目線となっている助っ人のヤラセ作業風景写真)

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まずは「N○K趣味の園芸」を参考にして「土6、腐葉土3、パーライト1」くらいの土を作ります。ついでに、緩効性肥料も目分量で混ぜておきます。

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作った土をせっせと鉢へ移します。

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ビニールポットの中で育ったワタの苗を、根が傷まないように土ごと丸ごと鉢へ移していきます。

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鉢は記念館前にずらっと並べました。

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ワタと一緒に、藍も大きめの鉢へお引っ越し。のびのびと根を広げてね。

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大きな鉢に小さな苗。こぢんまりとして、いじらしさが増しました。鉢いっぱいに、元気に大きく育ってくれますように。

本日の一句、古庭やいろいろの鉢いろいろの芽(正岡子規)

◆ 6/3(金)前編、担当者 怒りのデス・ロード

鉢への植え付けを午後に控えた3日(金)の朝、やけに元気のない苗をよくよく観察してみると、葉の先の方がくるくると巻かれているのを発見しました。

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(以下、幼虫の写真があります)

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小さな葉の裏側に、小さな小さな「ハマキムシ」が隠れているではありませんか!

慌てて他の苗を見ると、至る所にハマキムシが隠れていました。大きさは数ミリ~1センチ足らず、1枚の葉に複数の幼虫がいることも(上の写真にもひっそりと2匹います)。毎日欠かさずワタのことを見ていたのに、今の今までまったく気が付きませんでした。一生の不覚、担当者失格です。

小さくて指では捕獲しにくいので、筆を使って一匹一匹捕まえていくことにしました。

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出てきたばかりの本葉もいくつか被害に遭ってしまいました。悲しいですが、このまま枯死してしまう苗もあるでしょう。

視認できたハマキムシは一匹残らず捕獲して水に沈めましたが、まだ孵っていない卵や取り逃がした幼虫がいる可能性を考え「スミチオン乳剤」を散布することにしました。
オーガニックコットンを目指していたわけではありませんが、肌に触れるものですので、なるべく環境を汚染せず人にも虫にも優しくありたいと思っていました。残念です。

まだ幼く小さなワタたちですので、虫に食べられて無くなるのは一瞬です。食うか食われるか、それなら食うしかありませんね。

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藍の鉢皿を水飲み場にしているらしく、ハマキムシ退治中に幾度となく現れ作業の邪魔をしてくれたアシナガバチ。藍も植え替えて鉢皿を撤去したので、おそらくもう来ないはずです。というか来ないでほしい。

後編は気を取り直して、植え付け作業のご報告です。

◆ 5/28(土)一週間の記録

今週一週間の成長記録です!が、月曜日に私用でお休みをいただいたため、早速月曜日の写真がありません。

↓5月24日(火)順調に成長中です。

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↓25日(水)難易度高めの間違い探しのようです。

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↓26日(木)この写真ではちっとも見えませんが、本葉が出てきました!

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↓27日(金)一晩で葉っぱが大きくなったように感じます。

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↓28日(土)昨日の写真の方が生き生きしているような気もしますが...。

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↓先週20日(金)と28日(土)を並べると、こうなりました。

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素晴らしい成長をありがとう!という気持ち!です!

今週は本葉も出てきて、また一つグンと大きくなりました。
またまた、来週が楽しみです。

↓20日(金)と本日28日(土)の藍。窮屈になってきました。
実は根っこが下から出てきています。早急に大きな鉢へ植え替えてあげなければ。

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来週には、大きな鉢へお引っ越し(予定)です。

◆ 5/27(金)悲喜こもごも

ワタのそばに小さなバッタがいました。ショウリョウバッタかオンブバッタ?

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ピョンピョン跳ねてとてもかわいらしいバッタでしたが、バッタは「ワタの葉っぱも食べる」という一文を目にしてしまったため、残念ながら駆除対象です。追いかけまわして、ワタから遠く離れた外庭へ移動していただきました。

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多くの苗は、今日も元気に成長しています。その一方で、発芽間もなく枯れてしまった苗がいくつかあります。

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(写真左)発芽直後に枯れてしまった新芽たち。
(写真右)発芽しかけて、土から出ることなく枯れてしまった新芽(代わりに小さなカタバミが生えてきました。可愛いけども...)。

原因を調べるために愛読書ならぬ愛読サイトである「住○化学園芸 病害虫ナビ」を眺めていると、だんだんと諸悪の根源は「虫」にあるように思えてきました。あれもこれも何もかも虫のせいにしてしまうという確証バイアスが働いています。

もう少し成長したら、ワタたちは大きな鉢に植え替えます。植え替えた後しばらく様子を見て、生育の良い株を残し他はすべてハサミで切り取ってしまいます。そうして間引きをすることによって風通しや陽当たりが良くなり、病気や害虫被害を防ぐことにもなります。株同士で肥料の奪い合いをすることもなくなります。

ですので、もしすべての苗が元気に育ってくれたとしても、後々いくつかは間引いてしまうことになるのです。「間引く手間が省けてラッキー」とでも、思えたらいいのですが。

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子葉のあいだから、本葉が顔を出しました!

草の芽よ斯う枯るとて愛らしく(担当 心の俳句...ではなく小林一茶の俳句です。)

◆ 5/20(金)発芽から一週間経ちました

↓5月13日(金)画像では何の変哲もない土に見えますが、初めて発芽が確認できた日です。心の目で見てください。

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↓14日(土)よくよく見ると、子葉の緑がちらほら確認できます。わかりますか?

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15日(日)お休みのため写真無し。

↓16日(月)少しずつ子葉が開いてきています。

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↓17日(火)画像でも存在が認識できるようになってきました。

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↓18日(水)どんどん芽吹いています。

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↓19日(木)緑増殖中。

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↓20日(金)これが今朝の様子です。子葉にハリがでてきた気がします。

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↓13日(金)と20日(金)を並べると、こうなります。

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生命力を感じますね!

初めて発芽を確認した13日(金)から、ちょうど一週間が経過しました。
今のところ、特に大きな問題もなく順調に育ってくれています。嬉しいです。

もう少し成長して本葉が生えてくる頃に、大きな鉢へ植え替える予定です。

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画像左は10日(火)、右は20日(金)の藍。
藍も順調に増えています。葉っぱがワサワサしてきました。

すくすくすくすく育っています!

◆ 5/18(水)虫の話

先日いつものようにワタを眺めていたところ、ワタたちのあいだを猛スピードで這う虫を見つけました。

↓写真の中に隠れています。

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サイズは2センチほど、茶褐色の細長い胴体、節から生えた沢山の脚、長い触覚と尻尾(正確には尻尾ではなく曳航肢(えいこうし)という脚)。小さくても形は立派なムカデを発見しました。

(不快害虫の写真を載せています。苦手な方は、下の画像を見ないようにしてくださいね!)

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ムカデの赤ちゃんでもヤスデでもなく、「イシムカデ」の一種のようです。

ムカデとヤスデ。
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ヤスデはムカデに似ているといわれますが、どちらかというと長いダンゴムシっぽいです。
腐葉土などを食べて有機物豊富な糞をするので、土壌を豊かにしてくれる益虫です。

↓イラストになるとかわいいヤスデ。
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今回ワタのそばで見つけたイシムカデは、成虫でも3センチほどの大きさにしかなりません。
やや扁平で15対の歩肢があり、朽木や落葉、石下、土壌中に住み着きます。

ムカデというと毒があり危険なイメージですが、イシムカデはヒトを刺咬することはほぼないそうです。
また、小さくても肉食ですので、ワタを食害することもありません。
他の害虫を食べてくれるため、ワタにとっては益虫とも言える存在です。

そんなことも知らずに害虫だと思い込み、割り箸でつまんですぐに外庭に埋めてしまいました。
なんと可哀相なことを...。

今後は無益な殺生を避けるために、虫についてもしっかりと学んでいく所存です。

人も虫も見た目で判断してはいけません。

◆ 5/16(月)ナメクジ対策

一昨年の栽培時、ナメクジが大発生してしまい、その駆除に大変苦労したと聞きました。ナメクジは発芽したばかりの双葉(子葉)が大好物とのこと。可愛い新芽たちがナメクジのお食事になるなんて、想像しただけで耐えられません。絶対に守らなければ!

ということで、あらかじめ購入しておいたナメクジ駆除剤を早速使ってみることにしました。

調べたところ、ナメクジ駆除剤は有効成分によって大きく二つに分類できるようです。

  • メタアルデヒド系

麻痺を誘発するとともに、粘液分泌を促し収縮させることで死に至らしめる。ナメクジはその場で死亡するため、死骸の処理が必要。犬猫など哺乳類が多量に摂取すると、死亡する恐れがある。

  • 燐酸第二鉄系

内臓器官に変化を起こし、作物を食べることができなくなる。ナメクジは巣に移動してから死ぬため、死骸を処理する必要がない。天然由来成分のため人体や犬猫に害がなく安心。

両者とも散布後一晩で効果を実感できるそう。効き目に差が無いのであれば、このご時世、なるべく自然に優しく害のない後者の使用が好ましいのではないでしょうか。

と言いつつ、今回当館が使用するのはメタアルデヒド系の薬剤です。調べる前に購入していました。

株元に蒔くのが本来の使い方のようですが、思案した結果、専用ケースを製作してその中に入れて使うことにしました。いわば「ナメクジホイホイ」です。誤食やいたずら防止、雨除けが主な目的。

製作に必死になるあまり、途中経過の写真は撮り忘れてしまいました。

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こんな感じで設置しております。

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13日(金)の夕方に設置してから、丸三日。いまだに一匹も捕獲できていません。そもそも今年はまだ一度もナメクジの姿を見ておらず、被害も出ていません。時期尚早だったかも。

とりあえず「対策している」という点で心の安寧に役立っているので、良しとしています。

ナメクジ、ホイホイできず。

◆ 5/13(金)発芽しました!

10日(火)に種を蒔いて以降、出勤時、休憩時間中、移動時、退勤時、事あるごとに(事がなくても)ワタの様子を見に行っています。

「N○K趣味の園芸」によると、ワタは種蒔きから10日ほどで発芽するとのこと。したがって、当館のワタの発芽予想日は20日ごろ。まだまだだと分かっていても、気になるのが親心です。

一昨日と昨日、種の上に被せた土が薄すぎたのか、夜の間に雨に打たれて流されてしまい、いくつもの種が野晒し状態になっていました。
2日の日誌で綿繰り後の種の写真を掲載しましたが、繊維をむしり取った後の種は、産毛の生えた動物の赤ちゃんのような姿をしています。その種が雨に濡れながら土の上に転がっている様は、なんだかとてもか弱く、痛々しく見えました。「夏には花、秋には実」なんて夢のまた夢、発芽すら危ういのでは...。

内心そんな不安を抱きつつ、いつものごとくビニールポットを覗き込んだ今朝。

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なんとびっくり、発芽しているではありませんか!

種から今まさに顔を出さんとしている姿、見えますか?右の写真を拡大したものが以下。

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出てきています!!

『日本大百科事典 ニッポニカ』によると「発芽」とは「幼根が種皮を突き破って出るという形態的変化をもって認めることができる」とありますので、当館のワタは「発芽」で間違いないでしょう。

種皮からチラリと見えている淡い緑色が「子葉」、白と赤のグラデーションになっている部分が「幼根」でしょうか。
よくよく見ると、根の部分に赤い斑点があるのがわかります。これは「ゴシポール腺」というそうです。ワタの種子に含まれるゴシポールは、殺虫・抗菌作用があり、かつては男性用経口避妊薬として用いられていたことがあるそうですよ(「小林晴男, 湯山章. 綿実油成分, ゴシポールの雄性不妊作用. 日獣会誌. 1988;41:594-597.」詳しく記されています)。

予想より遥かに早い発芽です。これが良いことなのか悪いことなのかも判断がつきませんが、いずれにせよ、可愛い芽が出てきてくれたことは喜ばしい限りです。このままぐんぐん育ってくれますように。

今回、当館が栽培・収穫したワタと一緒に、当館室長が自宅で栽培したワタも育てています。大商大のマスコットキャラクター・商ちゃんが目印。
こちらも芽が出てきています。

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室長宅のワタの種は、当館のものより一回り小さいサイズでしたが、発芽のタイミングは同時でした。
成長過程で何らかの差異が現れるのか、今後も観察していく予定です。

次回、ナメクジ対策に乗り出します。

◆5/10(火)種蒔き

よく晴れた午前中、種を蒔きました!

石灰を入れて1週間ほど寝かせた土に腐葉土を混ぜ、ビニールポットに入れていきます。

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前日から水に浸しておいた種をポットに5個ずつ置き、上からふんわりと土を被せて...

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お水をあげてから、陽当たりのいい記念館の玄関前へ移動させました。

今年も一鉢だけ「藍」を育てています。こちらはすでに、可愛い芽がピョコピョコ顔を出していますよ。

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元気に大きくたくましく育ってね!!!

◆5/2(月)土作り・綿繰り

  • 土作り

栽培用の土は、昨年の土を再利用して作ります。

昨年12月に鉢を撤去した後、土は屋外に保管(放置)していました。そのため、土の至る所に雑草の姿が。
カタバミが可憐な黄色い花を咲かせていましたが、ここは心を鬼にしてブチブチと引っこ抜いてしまいます。

ワタは酸性土壌を嫌うので、種蒔きの1週間前までには石灰をまいて中和させておく必要があります。

先週、布施のコーナンにて苦土石灰を購入し用意しておいたのですが、当館の物置で大量のスポーツライン用石灰を発見したので、そちらを使うことにしました。

土の上にパラパラ塗し、スコップでわっさわっさと混ぜていきます。

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石灰の種類も分量も混ぜ方も、本当にこれで良かったのでしょうか。疑問は残りますが、ひとまず、石灰のすき込みが完了しました。

あとは待つのみ!

  • 綿繰り

種は、昨年収穫したものを使います。
昨年と同様、当館3階に展示している「綿繰り機」を用いて、綿繰り作業を行いました。

(綿繰り機の仕組みが気になる方は、過去の栽培日誌をご覧ください。)

一心不乱に回すこと、約30分。

20房のコットンボール(綿の実)から、160個の種が取れました!

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来週の種蒔きが待ち遠しいです。

◆ 4/26(火)今年もやります、河内木綿栽培!

当館で「河内木綿」の栽培を始めてから、早3年目。
今年も、その季節がやってきました。

当面のざっくりとしたスケジュールは、以下の通り。

  • 5月1週目 土作り、綿繰り
  • 5月2週目 種蒔き

その後の予定は、ワタの成長次第といったところでしょうか。
うまくいけば、秋頃には真っ白い綿たちと出会えるでしょう!ウキウキですね!

当館としては3回目の河内木綿栽培ですが、日誌担当者は今回が栽培初挑戦です。
実はこれまで、多くの観葉植物(パキラ、ドラセナ、ウンベラータ等々)を枯らしてきた経験と実績があります。期待と不安で胸がいっぱいです。どうかみなさん、生温かい目で見守ってください。

現在、当館では常設展示室リニューアルオープンの記念品として、昨年収穫した綿(種入り)をご用意しています。数に限りがございますので、お早めに。
みなさんもご一緒に、河内木綿を栽培してみませんか?

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今年もたくさんの綿が実りますように。

2021年度の栽培日誌はこちら