経済学ってなんだ?

持続可能な社会を目指して
諸課題を解決する「経済学」。

木下 祐輔専任講師

私たちの生活を理解し、持続可能な
社会の築き⽅を探るのが「経済学」

生活に必要なモノをつくるためにヒトが働き、お金を得て、そのお金でモノを買うというように、社会ではヒト、モノ、お金などの資源が相互に関係しながら動いています。これらを繰り返すことで、私たちは生活を続けることができます。このような、生活を支える仕組みが経済です。
しかし、資源には限りがあります。持続可能な社会を築いていくため、資源を利用する際の分け方について考える学問が「経済学」です。
私たちの生活に関わる問題には、国や地域に広く関わる問題、長期に影響が及ぶ問題があります。また、経済の状況は複雑で、絶えず変化しています。経済の根本の姿を見極めようという狙いから、遠目・長い目でみることが「経済学」の基本であり、重要な部分を取りあげて検討しようとする接近方法がその特徴です。
「経済学」は、私たちの生活を理解するための実用的な道具であり、生活に関わる諸問題を解決するために役立ちます。

地域社会の諸問題について自分で考えることができるようになる学び

持続可能な地域社会を築いていくためには、経済社会の動きを正確に分析し、柔軟な発想と幅広い視野で物事を考えることが大切です。経済学科では、国内外の地域社会が抱える諸問題を理解し、解決に導く実践的な能力を備える人材の育成を目指して、経済学を基軸に広範囲な理論や知識を身につけるための学びを展開しています。
その学びは、自分で考えることができるようになるために、これまでに得た経済に関する部分的な知識などを比較したり関連づけていくことにより進めていきます。実際に「中学、高校で習った地球温暖化について自分なりにどうすればよいか考えを深めたい」「地域の活性化に役立ちたいので産業の現状や課題について学びたい」「自信をもって意見を述べたいので統計データを適切に分析できるようになりたい」などの考えを持つ1年生が多数在籍しています。
通説をうのみにせず、現状に疑問を持ち、問題の解決に取り組んでみたいという方に推薦します。

私の原点

社会人経験をきっかけに、研究者として答えのない問題に挑む

私の実家がある地域は人口が決して多くはない、いわゆる田舎です。子供のころ、その地元が大河ドラマで取り上げられ、関連するテーマパークができたことで、観光客が大幅に増えました。しかし、それも一時期だけで、ドラマの放映終了以降、徐々に減っていく様子を目の当たりにしました。その経験が、地域経済に関心を持ち大学で経済学を学びたいと思ったきっかけです。大学のゼミでは、理論とデータを通じて現実経済をどう見るかひらすら考えました。将来は学んだ経済の知識を使える職業に就きたいと思い、そのために必要な統計やデータ分析を学ぶため大学院にも進学。卒業後は銀行系のシンクタンクに就職しました。国や自治体から依頼を受けて行う調査が仕事で、やりがいはありましたが、自分が本当にやりたいことは何か迷っていました。その後、関西経済の状況や情報収集を行い分析・予測を行うエコノミストとして働くうちに、昔を思い出し、自分の関心に従って答えのない問いに挑みたいと考えるようになり、研究者の道に進みました。いまは、地域経済に加えて、心と身体の健康や働き方改革など、健康経済学や労働経済学も研究しています。