経営学ってなんだ?

組織をゴールに導くために
「経営学」はあります。

総合経営学部長

林 幸治教授

会社でも部活動でも、
あらゆる組織が「経営学」の対象

「経営学」は一言で言うと「組織が目的を達成するための上手な運営方法を考える学問」です。会社でもその他のグループでも、組織は何らかの目的を持って活動しています。例えば会社の場合は、利益を上げることですね。そのゴールを達成するためには、さまざまなことを検討する必要があります。どんな商品をつくるのか。どのようにして必要なお金を調達するのか。どのように人を管理したら、みんなが働きやすい職場になるのか。そうした組織運営を考えるのが経営学、マネジメントの分野です。
経営者ではなく、一従業員であっても経営学の知識は役立ちます。経営的な視点で会社の方針や戦略を客観視できるようになり、自分が組織の中でどのような役割を果たせば目標達成に向けて円滑に進むのかを考えられるようになります。この世の中を一人で生きていくことはできません。必ずどこかで他者との接点、組織との関わりがあるでしょう。会社だけでなく、部活動やアルバイト先も組織です。そうしたあらゆる組織の中で生かせるのが経営学なのです。

経営学に欠かせない、
データから新しい価値を見出す力

経営学には、企業を経営していくうえで重要な要素として、経営資源という考え方があります。経営資源は、少し前まで「人・モノ・金」と言われていましたが、最近は「情報」も日重要な要素と言われています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が急激に進む今、持っている情報(データ)をどのように使うかが大切なのです。例えば、お店のレジでは、売れた商品のデータなどが蓄積されています。そのデータを分析して、もっと商品を売るにはどうすればいいのかなどを考える力、つまり、膨大な情報の中から価値のあるものを導き出す力を皆さんには身につけてほしいと思います。
このような力を身につけるために必要なのが、いろいろなことに関心を持って、自由に挑戦して視野を広げることだと思います。データに関わるかどうかは関係なく、世の中に興味をもって、恐れずチャレンジしてほしいです。世の中のさまざまな側面に触れることで、データをみる多様な視点が得られます。そして、手を挙げればいろんなことに挑戦できる環境が整っているのが大阪商業大学なのです。

経営学 私の原点

中⼩企業が抱える資⾦調達の問題を解決するために、研究者の道へ

「中小企業の力になりたい」、その思いが私の研究の原点です。大学時代に中小企業の経営課題を分析するゼミに所属し、中小企業の資金調達に関心を持ちました。お金の面で中小企業をサポートするため、卒業後には一度信用金庫に就職しています。しかし信用金庫では限られた地域の企業しかサポートできないので、「もっと広く日本全国の中小企業を支援するにはどうしたらいいのだろう?」という気持ちが強くなっていきました。そこで選んだのが、研究者として中小企業のよりよい資金調達システムを考えるという道でした。
研究手法は事例研究がメインです。例えば、中小企業や信用金庫の方々にアンケートを送って質問したり、実際に現場に足を運んでお話を聞いたりしています。利益などの数字はあくまでも結果。そこに至る過程を知り、その企業を深く理解するには現場の声を聞くことが欠かせません。統計的に数字を分析する手法が主流になっている今だからこそ、事例をコツコツと収集して知見を蓄積し、それをベースにモデルとして一般化していくような研究も大事なのではと考えています。