公共学ってなんだ?

身近な社会問題が
公共学の教材になる

公共学科主任

宍⼾ 邦章教授

身の回りにある問題を解決し、
より良い社会を構想するために

日本は超高齢社会に突入し、さまざまな社会問題を抱えています。財政赤字は膨らみ、行政サービスの限界が見え始め、社会の持続可能性に疑問符がついている状況です。「公共学」は、そうした現状を変え、新たな社会をどのように構築していくかを実践の中で学んでいく学問です。
公共学では、日常生活で感じる不便さや不安が研究対象になります。商店街がシャッター通りになってしまい、買い物が不便になった。子育てがしづらい環境で、保護者に負担がかかっている。人と会うことが少なくなり、孤独を感じる。こうした社会のあちこちで見られる問題は、工夫次第で解決することができるのです。もちろん、1つの視点だけで問題の本質を理解するのは難しく、経営学、社会学、政治学、組織論、スポーツマネジメント論など、幅広い知識を応用して考察を深める必要があります。求められる知識量やスキルは少なくありませんが、これまでにない手法や取り組みで現状を変えたい、地域を元気にしたい、という思いを抱く人にとって、公共学はうってつけの学問といえます。

持続可能な社会の実現に向けて
経営学的視点で物事を見つめる

大阪商業大学の公共学科の特徴は、経営学的なアプローチを駆使して地域社会の発展と活性化に貢献するという点にあります。社会貢献を担う団体も、組織運営や資金集めがうまくできなければ持続可能な活動を行うことができません。社会問題を解決に導くには「続けること」が重要であり、そのためのヒントが経営学の中にあるのではないかと考えています。
また、現代社会で活動する全ての企業は、単に利益を上げればいいというわけではなく、社会的・公共的な使命を果たすことが求められています。公共学科は、そうした状況の中で社会のために自分は何ができるかを考え、行動することにやりがいを見いだせる人材の育成を目指しています。学生時代に自分たちの取り組みによって小さな変化を起こす経験を重ね、日常生活に隠れた問題を発見できる力を養ってほしいと思います。 公共学科で、身近なテーマを教材に実践的な学びに取り組み、より良い社会・地域づくりに向けて考えを深めていきましょう。

公共学 私の原点

現場におもむき人々の生の声を聞く経験が大きな学びにつながる

出身地である宮城県丸森町は、高齢化が進んだ過疎地域。実家がお寺だったこともあり地域の人々との交流が多く、子どもながらに地域住民の暮らしに関心を抱いていました。大学・大学院時代は社会学が専門で、高齢者のライフスタイルについての研究に取り組んでいました。大学院修了後、大阪商業大学JGSS(日本版総合的社会調査)研究センターの研究員として本学に着任。日本人の意識や行動全般を測定する大規模な社会調査に携わりつつ、調査で得られたデータを用いて高齢者のライフスタイルの地域比較などを行っていました。
現在は社会学の視点から「公共」を捉え研究・教育活動に励んでいますが、「現場主義」を貫き、学生にも体験に基づく学びを大切にしてほしいと思っています。私が担当するフィールドワークゼミナールでも、社会福祉協議会やNPO、行政をはじめとした団体や民間企業と協働し、「少子高齢化とまちづくり」をテーマに多様な活動を展開しています。普通に学生生活を過ごしていては関わることのない人とコミュニケーションを図り、課題解決のための施策を考え実行に移すという経験は、学生のその後の人生に大きな影響をおよぼします。実践的なスキルを養うと同時に、自分の強みに気づき自信を得る、貴重な学びとなっています。