フィールドワークゼミナール

PICK UP! 池田ゼミナール

Profile2021年11月取材時

  • 池田 潔教授
    経営学科

  • 亀野 空さん
    経済学科 3年

  • 流 大智さん
    経営学科 3年

  • 望月 陽太さん
    公共学科 3年

  • 新野 隼士さん
    経済学科 2年

池田ゼミナールの活動内容は?

望月 「フィールドワークによる中小企業と地域・社会との共生に関する研究」が活動テーマです。実際に現地に行って企業の方と関わる活動をしていて、ゼミ内で4つのチームに分かれています。ここにいる4人は各チームの代表、リーダーを務めています。
亀野 私は「町工場マップ with MACHICOCO」というプロジェクトを担当しています。東大阪の高井田地区の町工場を調査して、工場の場所や概要をまとめたマップをつくるという活動です。高井田地区には町工場がたくさんあるのですが、シャッターが降りているところも多く、工場の様子が全然分からないんです。そこで、このマップ制作を通して、工場がどのような事業を展開しているのかを市民の方に伝えることを目的としています。

 大正区役所をクライアントとしたプロジェクトを受け持っています。このチームは、毎年開催されている「ものづくりフェスタ」という区のイベントに参加していて、2021年度は中学生向けの教材制作という形で関わることになりました。楽しみながら、地域の企業について詳しく知ってもらえるような教材づくりを目指しています。
新野 私は大正区にある木幡計器製作所という企業のCSR報告書作成を担当しています。計測・制御機器を製造している企業なのですが、ボランティアなどCSR活動にも力を入れていて、その活動内容を報告書としてまとめるというプロジェクトです。
望月 私たちのチームは「てづくり工場組合」の活動に取り組んでいます。この組合は、活気が薄れつつある鉄の町九条を再生しようというコンセプトのもと、若手の経営者が中心となって設立した団体です。この組合と協働して、九条の公園や小学校、幼稚園、保育園にモニュメント・遊具を設置する活動をしています。

皆さんが感じる、フィールドワークゼミナールの魅力は?

望月 私は2年生の時からリーダーを担当させていただいています。そのため実際に企業の方と交渉する場面でどのように話を組み立てるか、交渉を進めていくかという大事な部分を考えることは、とても勉強になりました。座学では得られない、フィールドワークゼミナールならではの経験だったと思います。
亀野 私がフィールドワークゼミナールに入ったのは3年生からなんです。2年生までのゼミでは、みんなで協力して一つのことを達成するというような機会は少なかったのですが、池田ゼミでは、グループワークで協調性を養えたり、チームを引っ張るリーダーの立場を経験できています。みんなで何かをするのは楽しいな、というのが率直な思いです。
 活動の一環として企業の社長さんへ取材を行うのですが、その際に取材の受け答え以外にも社会人としてのアドバイスやフィードバックをいただけたり、社長ならではのためになるエピソードをたくさん聞けたのがよかったですね。

亀野 確かに、私のチームもいろいろとご指導をいただきました。メールの返事は早くするとか、取材の段取りは事前にしっかり考えてくるとか。その時は直前の予定変更で準備が間に合わなかったという事情もあったのですが、実際そうした部分が社会では大切になってくるんだなと実感しました。
池田 フィールドワークゼミナールというのは、地域の方や企業の社長がゼミ生に対する教師の役割を担ってくれています。普通のゼミナールだと教師役は私一人だけなので、そこが大きな違いです。いろんな方が学生に対して、「社会に出ていく上ではこうした方がいいよ」というアドバイスをしてくれています。ゼミ生が作成したビジネス文書などについても、「ここはどうなっているの?」という問い合わせがあったりして、それに答えるだけでも相当な力がつきます。フィールドワークゼミナールに入る前にビジネスマナーを学ぶ授業はあるのですが、実践が伴わないと本当の意味では身につきません。実際にビジネスの現場に立ち、振る舞いや話し方を鍛えられる点がフィールドワークゼミナールのいいところだと思います。

 池田ゼミでは前期にロジカルシンキングを学んだのですが、その知識もインタビューの現場で実践できました。ロジカルシンキングの考え方を参考にして、質問項目におかしな部分がないかを確かめてから本番に臨むようにしていました。リーダーの立場として、他の人の見本となれるようにという意識も強かったです。
池田 それは素晴らしいですね。他の皆さんは、リーダーとして心がけていたことはありますか?
新野 グループワークをきちんとしようという思いはありました。チームのメンバーは6人ですが、自分からどんどん話す人とそうでない人がいて。そうした場面では「どう思う?」と意見を引き出して、みんなで話を進めていけるように意識していました。
望月 一番心がけていたのは、手を加えすぎないことですね。グループごとにそれぞれのやり方があるので、基本的にはそれを尊重するようにしました。どうしても修正しないといけない場合には指摘をしますが、許容できる範囲であれば個性として生かすようにしました。
亀野 私の場合は、まずみんなを知ることです。「こんなものが好き」「このテレビ番組が面白い」といった何気ない会話を通して、お互いを知ることを大切にしていました。プロジェクトで面白い提案をしようとなった時に、そうした雑談がヒントになった場面もあります。人となりが分かったことで、役割分担もうまくできたと思います。

活動を通して得られた学び、成長した点は?

望月 主体性や、目上の方とのコミュニケーション方法を学べました。大学の活動において、企業の方と最も密接に関われる機会がフィールドワークだと思います。そうした実践の場で、実際の行動の仕方を学ばせてもらったことは大きな糧になりました。
 今まで経験したことのないことが池田ゼミで経験でき、積極性が伸びたと感じます。中間報告会でも先生から勧められて発表を担当したのですが、やるからにはいい発表にしたいと思い、授業外でも自分からメンバーに声をかけて準備を進めるなど、積極的に取り組みました。
亀野 自分一人でも、やろうと思えば学外の調査など似た活動はできるんですよね。でも、周りを巻き込んで一緒にやるというのは、やっぱりフィールドワークゼミならではの醍醐味です。私自身はこの活動を通して、協調性や他者の意見を踏まえて意思決定する力、メンバーの適性を見抜いて仕事を割り振る力がついたと思います。

新野 私は、実際に社会に出て活躍されている方と一緒に活動できたことがよかったなと思います。アルバイトなどで社会人の方と関わる機会もありますが、それとはまた違う貴重な経験ができました。
 あと私は経営学科生なのですが、池田ゼミは経営学の内容を扱うゼミなので、授業で習ったことをこの場で実践できたかなと思います。
亀野 私の場合は反対に、経済学科の授業では出てこない考え方に触れ、新しい視点を得ることができました。
池田 学科横断型で、自分の学科とは違う分野のゼミナールに所属できるのはフィールドワークゼミナールの特徴の一つです。さまざまな専門性を持った学生たちが集まり、「こんな見方もあるのか」という気づきを与えられる場にできればと思っています。さらに言うと、普通は大学受験時に経済学科に行こうか、それとも経営学科に行こうかと悩む高校生の方も多いと思いますが、学科の垣根を越えて自由に学べる点が大商大の特徴です。それを最も体現しているのが、フィールドワークゼミナールであると言えます。

フィールドワークゼミナールはどんな人におすすめ?

望月 主体性や行動力のある人は、その能力を存分に発揮できると思います。また、フィールドワークを通じてそうした力をつけたいと考えている方にもおすすめです。
亀野 フィールドワークで学外へ活動に出たり、積極的にグループワークをしたりするので、やる気と元気がある人に向いているかなと思います。自分からできることを探すなど、積極的に参加する姿勢も大切です。そして、学科の垣根を越えて学ぶことへの興味というのも、重要なポイントだと感じます。
 池田ゼミに限らないのですが、私は積極性を身につけたくてフィールドワークゼミナールに入ったので、同じような思いを持っている方におすすめしたいですね。積極的に行動できるかは結局のところ自分次第なのですが、それを後押ししてくれる環境がここには整っていると思います。
新野 フィールドワークゼミナールは通常のゼミよりも活動の内容が濃いと感じます。大学に入ってから何か活動を頑張りたいな、と考えている方にはぜひおすすめしたいです。