起業教育ワークブック | 授業の充実と学びの実践 | 大阪商業大学 総合交流センター

授業の充実と学びの実践

起業教育ワークブック

実践的な指導書「高校生のための起業教育ワークブック」

高校で活用できる起業教育のための指導書を、起業教育研究会で制作しました。(現在、冊子の配布はしておりませんが、掲載しているPDFデータはご利用いただけます。)
起業教育のための素材を提供するもので、これからの素材をもとに、教育目標や時間数に応じて、先生方が授業を組み立てていくことを想定しています。活用方法や授業での活用事例などを紹介しています。
ここでは、起業教育研究会で半年に及ぶ議論から生まれた指導書「起業教育ワークブック」の企画意図・活用方法を紹介しています。


概要・活用方法

全4編からなる起業教育ワークブックの概要・授業での活用方法を紹介しています。→【詳細】

高校の現場で使いやすい教材を

この起業教育ワークブックは、大阪商業大学ベンチャー育成部会の教職員と、起業教育に関心のある高校教員によって組織された「大阪商業大学起業教育研究会」によって作成されたものです。大阪商業大学では、高校生を対象に新しい商品やサービス、ビジネスプランを募集・表彰する「大商大ビジネスアイディア甲 子園」を実施しており、本研究会は、第一回目の「大商大ビジネスアイディア甲子園」開催後、高校側から起業教育に関する情報交換の場を作ってほしいという 意見が寄せられたのを受けて、2003年2月に活動を始めました。
そして、起業教育研究会の議論の中で、高校の教育現場で使いやすいワークブックを作ろうということになりました。そこで、研究会参加者の中から大阪商業大学の教員10人と高校教員13人からなるワーキンググループを組織し、本ワークブックを作成することになったのです。

アントレプレナーシップの涵養をめざして

このワークブックは起業教育を目的としていますが、私たちの考える起業教育は、会社を興すとか、社長になるとかという狭義のものではなく、アントレプレナーシップの涵養、すなわち「起業家精神」と「起業家的な資質・能力」を持った人材を育成することを目標としたものです。そして、「起業家精神」とは、自立性、チャレンジ精神、創造性、積極性、探究心であり、「起業家的な資質・能力」とは、自己責任で決断する能力やリーダーシップを発揮する能力、コミュニ ケーション能力、情報の収集・分析能力とそれに基づく判断力、問題解決能力、行動力であると考えています。
このような起業家精神や起業家的な資質・能力は、ベンチャー企業の経営者などの起業家だけに必要とされるわけではありません。将来、どのような職業に就くにしても、「自分で考えて判断し、自分で決断して行動できる能力、さらにはチームを率いることができる能力」が求められるのは確実です。そして、起業教育が目指しているのは、こうした能力を持つリーダー的な人物の育成であります。
起業教育の現場では、様々な取り組みがなされています。模擬会社設立による企業運営の体験(バーチャルな市場、現実の市場)、就業体験(インターンシッ プ)、意思決定に重点を置くビジネスゲーム、現実の起業家や企業経営に学ぶケーススタディなどがあります。しかし、起業教育の内容は、極めて幅広いものであり、限られた時間ですべてに取り組むことはできません。
そこで、本研究会では、起業教育の方法と育成すべき能力を次のように考えました。

「起業教育」を通じて「生きる力」を育むために

まず、日常生活に関連する商品やサービスの中から、不満・不足・不十分・不便を感じている(つまり充足感のない)消費者ニーズを発見し、そのニーズに対応するための商品やサービスのアイディアを考え、それを企画書にまとめます。そして、これらのアイディアを自己満足で終わらせるのではなく、プレゼンテーションを通じてクラスの仲間に評価してもらい、さらに改善された企画書に発展させていきます。こうした方法を用いることにより、「消費者ニーズの発見・ニーズに対応する商品やサービスの開発を題材とした起業教育」を行うのです。
このような起業教育を通じて育成された能力は、単に新しい商品やサービスを開発する場面だけに活用されるわけではありません。地域の産業や地域社会における問題を、さらには職場や家庭生活など様々な場面において直面する問題を発見し、解決していく際にも有用となるに違いありません。そして、こうした能力の育成は、自らの選択と自らの決断で積極的に人生を切り拓いていく「生きる力」を育てることにもなると確信しています。

「気づかせる教育」を実践する指導書として

起業教育は、その教育目標からみて、知識を詰め込む教育ではなく、生徒自身に考えさせ、気づかせる教育を実践するものであり、このワークブックは起業教育を担当する教員用指導書として位置づけられるものです。生徒が自分自身で考え、またグループで議論したことを書き込む形式のワークシートを用意してあります。
本ワークブックは、4編から構成されていますが、一般的なテキストとは異なり、第1編から第4編まで順を追って進めていくことを意図して作ったものではありません。あくまでも、起業教育のための素材を提供するものであり、これらの素材をもとに、教育目標や時間数に応じて、教員が授業を組み立てていくことを想定しています。起業教育は創造性を開発する教育であり、担当する教員も創造性を発揮する必要があると考えるからです。なお、本書の中の「ワークショップ」は生徒に与える課題と、生徒がそれを学習するための手順及び指導上のポイントを、「ワークシート」は生徒に記入させる書式の一つの事例を示したものです。

この起業教育ワークブックは、決して完成されたものではありません。様々な形での実践を踏まえて、より教育効果のあるものとするべく、さらに改訂を重ねていくつもりです。ぜひ、様々なご意見やご批判を研究会事務局までお寄せいただければと願っています。 本ワークブックが、起業教育のためのささやかな一助となれば幸いです。最後に、ご執筆いただいた先生方、また研究会の場で貴重なご意見をお寄せいただいた先生方に、厚く御礼申し上げます。

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