在学生・修了生紹介
修了生紹介
「実学」社会に出て活きる研究
地域経済政策専攻 博士前期課程修了(2025年)
人を大切にする精神をもって、
高齢者の健康と尊厳を支える施設運営を目指して
- この大学院に入学した理由・決め手
- 母国・中国の雲南大学で日本語学科を専攻していた私は、4年生の頃、三重大学の交換留学生として来日しました。そこで社会学を学ぶ中で、少子高齢化が急速に進む日本の現代社会の社会福祉のあり方に強い関心を抱くようになり、その分野のご専門として本大学院の宍戸教授をご紹介いただいたのがきっかけでした。面談の中で宍戸教授が私の研究関心や問題意識を丁寧に受け止めて理解してくださったことで、「日本と中国の社会福祉制度の違いについて研究してみたい」という思いがより明確になり、本大学院の地域経済政策専攻への入学を決意しました。
- 自分の研究テーマと魅力
- 私の研究テーマは「日中における高齢者『互助』福祉の比較研究-中国『社区養老』モデルとしての時間銀行に着目して-」です。少子高齢化の進行により、家族の扶養機能が弱まる中、地域における互助の仕組みが重要になっています。時間銀行は「時間」を媒介とする新しい支え合いの形であり、その持続可能性や現状の違いを日中比較の視点から明らかにします。この研究テーマの魅力は、単なる制度比較にとどまらず、家族構造の変化や社会保障制度の転換という大きな社会変動と結びつけて考察できる点にあります。また、実際の活動団体へのインタビューを通じて現場の声を反映させていることも、このテーマならではの意義だと考えています。
- この研究科を選んでよかったこと
- 実践的な研究に力を注げる環境が整っていることです。社会福祉の研究では、フィールドリサーチなど現場の実態把握が不可欠なため、幾つもの社会福祉施設や地域包括支援センターなどを訪問して現状や課題について調査しますが、宍戸教授がご自身のネットワークを活かして調査先を紹介してくださり、研究を円滑に進めることができました。また、指導体制の充実も大きな魅力でした。宍戸教授だけでなく同専攻の先生方からも多角的な視点でご指導をいただきました。多方面からフィードバックを受けられることで視野が広がり、研究の質を高めることができたと思います。少人数制ならではの手厚さと、自由でオープンな研究環境に感謝しています。
- 2年間の研究活動で得たもの
- 特に日本語力が飛躍的にアップしました。リーディングには少し自信があったのですが、言いたいことを言葉にして伝えるのが難しく、これまでは人前で話すのが苦手でした。でも大学院で学会など研究発表の機会をいただき、それに向けて猛特訓をしたことで日本語のコミュニケーション力を磨くことができました。介護施設でのアルバイトも日常会話のレベルアップにつながったと思います。また、留学生活を通して自己管理能力やストレス耐性、時間調整力、自立性が身につきました。研究活動と日常生活を両立し、優先順位を明確にして計画的に時間配分する力が養われました。
- 今後の目標や将来の夢
- 将来は、高い水準を持つ日本の高齢者福祉施設の仕組みを中国や海外で展開していきたいと考えています。日本で培った知識、技術、ブランドだけでなく"人を大切にする精神""品質を重視する姿勢"を取り入れた高齢者の健康と尊厳を支える施設運営を目指しています。特に高齢者の筋力維持や身体機能の低下予防に重点を置いた支援を行うことに関心があります。そのため、まず2年間で社会福祉士の国家資格取得を目標とし、その後トレーニング指導者とATC(米国公認アスレティックトレーナー※)の資格にも挑戦し、福祉と運動の両面から高齢者を支えられる人材になることを目標としています。
※看護士や理学療法士と同じ準医学従事者として扱われるアメリカの国家資格
経営革新専攻 修士課程修了(2025年)
理論と実践の融合をめざす研究環境下で培った
コミュニティ分析力を活かし、地域経済の活性化に貢献する
- この大学院に入学した理由・決め手
- 大学の学部時代は金融やマクロ経済を専攻し、社会を大きな視点で捉える学びに取り組んでいました。しかし学びを深めるにつれ、「マクロの視点だけでは人々の行動や社会の本当の構造は見えないのでは」という疑問が生まれました。その問いの答えを求め、よりミクロな視点から人間の行動や組織を捉える経営学へ専攻を転換して進学を決意しました。入学の決め手となったのは、学長をはじめエンタメに理解のある教員が多く、専門性と研究環境が充実していると感じたことです。定性的な調査方法を用いた研究が盛んな部分にも魅力を感じるとともに、「理論と実践を結びつける学びを通じて地域社会に貢献できる人材になる」という目標が教育理念にマッチしたことが、進学の大きな後押しとなりました。
- 自分の研究テーマと魅力
- 私の研究テーマは「格闘ゲームの顧客創造におけるコミュニティの役割-ストリートファイター6を事例として-」です。ゲームコミュニティがいかにして新しい顧客を生み出し、熱狂的なファンを育てるのかをエスノグラフィーという手法で分析しました。コミュニティの内側に入り込み、参加者の行動や価値観を観察することで、数字やアンケートだけでは見えないリアルな参加者の姿と構造を捉えようとする点が私の研究の特徴です。このテーマを通じて明らかになる「人間の熱意が仲間を巻き込んでいくメカニズム」は、地域金融や中小企業支援など、人と人のつながりが重視されるあらゆる現場に通じる普遍的な知見だと考えています。
- この研究科で学んでよかったこと
- 最も大きな収穫は、指導教授との対話を通じてマーケティング理論や消費者行動論の知識を体系的に習得できたことです。エスノグラフィーという定性的な手法で研究を進めていく中で、「観察した現象をどの理論で裏付けるか」という壁に何度もぶつかりましたが、その都度、指導教授の加藤先生から的確な理論的示唆をいただき、研究の熟度を高めることができました。学術的な視点と実践的な問題意識を融合させる知的環境こそ、本研究科の最大の強みであると感じています。
- 2年間の研究活動で得たもの
- エスノグラフィーの実践を通じて、現場に入り込み人々の行動や価値観を丁寧に観察・記述する調査力が身につきました。同時に、マーケティングや消費者行動論の理論的素養を得ることで、現象を多角的に分析する視点も養われました。また、仮説が崩れても何度でも研究を練り直し、最後までやり抜く粘り強さと、問いを立て直す柔軟な思考力を身につけることができたことは、この2年間で得た最大の財産だと感じています。コミュニティという切り口で社会を見る眼は、今後のあらゆる場面で活かせるものと確信しています。
- 今後の目標や将来の夢
- 本研究科で培ったコミュニティ分析の視点と過去の金融機関職員の経験を掛け合わせ、地元・奈良を含めた関西圏の地域経済の活性化に貢献できる人材となることが将来の目標です。今は信用金庫で地域に根ざした金融機関の職員として働きながら、ボランティア活動や地域の方々との交流を通じて、勤務先である大阪のコミュニティ構造を肌で理解することに注力しています。将来的には、地域の中小企業や住民の方々に寄り添い、「顔の見える金融」を実現したいと考えています。

