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原田禎夫ゼミナール

実際の活動

原田ゼミナール
×NPO法人プロジェクト保津川
×パナソニックエコリレージャパン

河川環境が抱える問題の解決方法を社会で活動する人々と共に探る

活動の一例

  1. 原田ゼミナール×NPO法人プロジェクト保津川「保津川に溢れるゴミを減らしたい」
  2. 原田ゼミナール×パナソニックエコリレージャパン「庭窪ワンドの自然環境をゴミから守りたい」

指導教員×ゼミ生によるCross Talk

フィールドワークゼミナールで得たもの

岡 健吾(学生) 経済学部 経済学科 2016年卒 愛媛県立八幡浜高等学校出身

愛媛県出身で実家はみかん農家。経営コンサルティング会社に内定。原田ゼミの経験を生かして、将来は実家の稼業をより大きくする夢を描いてる。

原田 禎夫(指導教員) 公共学部 公共学科 准教授

公共経済学、財政学が専門。生まれ育った亀岡市を含む周辺地域をベースに、経済学的視点から保津川や桂川を含む淀川水系の環境保全活動に学生と取り組む。

きっかけは、「成長したい!」という強い思い

岡:2年生のときは通常のゼミに所属していたのですが、もっと行動的に活動できるような場で成長したいと思っていました。

そこで、3年生からは、淀川や保津川など、河川環境の保全を経済学の視点で考える原田先生のフィールドワークゼミナールに入りました。そのなかで、ゴミを処理するにもきれいな水を保つにもお金がかかるといった、経済学の学びにつながる知識を身をもって得ることができました。

4年生のときに、研究活動の集大成として、世界中の学生の起業を応援する「Enactus(エナクタス)」という組織のプレゼンテーションに参加できるということも大きな理由です。

"必ず成長できる!"という原田先生の言葉に、背中を押された感じです。

原田:大商大のゼミに対する考え方は、柔軟でおもしろい。3年生から他のゼミに移ることもできるんですね。そうすることで、ゼミの活性化が図られる利点もあるわけです。

水辺でのフィールドワークで学びの理解を深める

原田:私のゼミの学生は、フィールドワークのなかでゴミ拾いや外来魚の駆除などを手伝ったりするほか、捨てられるゴミの種類を調べたり観光客にアンケート調査を行ったりします。

例えば、嵐山の観光客に、「保津川(桂川)の環境を守るためにどのくらいならお金を出せますか?」といった、いくつかの質問が書かれたアンケート用紙を配ります。回収目標は、1,000人から1,500人。最初はどの学生もほとんど回収できませんが、そのうちに要領を覚えてどんどん回収できるようになります。

こうした調査は、かなり高度な経済学の手法を用いていて、本来なら大学院レベル。それを学生が実践することで、経済学的な考え方を身をもって学ぶことができるようになっていくわけです。

岡:アンケート調査は、質問内容を考えたり、回答を集計したり、基本的には各班に分かれて作業を行います。私は学年の代表を3年生から務めていますが、全体を取りまとめる役目を主に担当しています。

原田ゼミに入った当初は、こうしたアンケート調査やゴミの分類調査が何につながっていくのか理解せず行っていました。そのうちに、これらのアンケート調査が環境保全のための貴重なデータになり、川だけでなく山や海など自然全体の保全につながること、また、その保全にはどのくらいの予算がかかるのかなどといったことを理解できるようになりました。

原田:クリーン作戦など環境保全活動の参加者は、基本的にはボランティア。ただ、すべてが無償で行われているわけではありません。イベント開催を告知するためのホームページの立ち上げやチラシの制作や配布、拾ったゴミ処理にも費用が必要です。つまり、環境を守るのにも何かとお金がかかるのです。

学生はフィールドワークの活動を通して、自然破壊の現状を知って危機感を持つと同時に、それをもとの健全な姿に戻し維持していくためには、どのくらいのお金が必要なのかを実体験のなかで理解できるわけです。

多様な価値観に触れて大きく成長

原田:学生たちがゼミに入った直後と大きく変わったなと思うことは、目上の人に接する態度や言葉遣いができるようになったこと。岡君のゼミで接する社会人の方との話しをする態度を見ていても、話を引き出すのがうまくなったなと思います。

そもそも年長者は、きちんとした態度で接することができる若者には、つい話しかけてアドバイスをしてあげたくなるもの。そういった意味では、岡君をはじめ、フィールドワークゼミナールの学生は社会に出てもうまく活躍できると思いますよ。

岡:最終学年で、「Enactus」の大会でプレゼンテーションを行ったことも大きな経験でした。この大会では、全世界の大学のゼミグループが、地域の方々と一緒になって地域の抱える課題に取り組み、その結果を報告する場が設けられます。

私たちのゼミでは、毎年日本での予選大会に参加。今回は入賞を逃しましたが、ゼミ活動の集大成として内容の組み立てから発表までを行うことで、プレゼンテーションの力がついたと実感しています。

原田:フィールドワークゼミナールの学生は、本当に成長しますね。「Enactus」のプレゼンテーションでも、眼の色が変わっていましたから。

私がこのゼミを通じて学生に一番知ってほしいのは、世の中にはさまざまな人生があり、多様な価値観や生き方があるということ。保津川下りの船頭さんを例に取ると、先祖代々という方だけではなく元商社マンや元新聞記者、元長距離トラックの運転手など、いろいろなバックグラウンドを持った方が活き活きと働いています。

そうした実社会の多様性を理解できると、心に余裕を持って社会に出て行くことができます。人生は何度でもやり直せる。どんな生き方もOK。私のゼミで広い世界に飛び出すことで、そんなたくましさを身に付けてほしいと思います。

原田先生からのメッセージ

私のゼミ生で、今でも印象に強く残っている学生がいます。彼は最初、友だちに誘われて"何となく"という動機で入ってきました。しかしその後、フィールドワークを経験することで研究に"興味がわき"、留学して英会話も習得。国立大学の大学院に進学し、遂には、大学の教員を務めるまでになりました。
私のゼミでは学生が、若者からお年寄りまで幅広い年齢層で構成されている保津川下りの船頭さんに接したり、淀川の外来魚や外来植物の駆除に参加している現役の会社員、定年退職された方などと交流することで、実社会の多様性を知ることができます。そんな体験は、学内にいるだけでは経験することができません。
教員になった教え子のように、さまざまな経験を通して大きく変われるのがフィールドワークゼミ。ぜひ、参加してください。

岡さんからのメッセージ

原田ゼミに入った3年生のとき、自ら手を挙げて学年の代表になったものの、最初はとまどうことばかりでした。そんな気持ちを克服しようと、積極的に自分から行動することでだんだん責任を果たせるように。現地でゴミ拾いや調査の活動を重ねることで、自然環境を保全することの大切さを実感できると同時に、自然の経済的価値を学ぶことができました。
卒業後は経営コンサルティングの企業で働きます。原田ゼミでさまざまな社会人の方と活動し、一緒に問題の解決を考えた経験が志望にもつながりました。社会に出る前に実践経験がつめるのは、いろんな意味で大きなメリット。原田ゼミで、一緒に社会を学んで成長しよう!

原田ゼミに関わる方々のコメント

森田 孝義さん

森田 孝義 さん
保津川遊船企業組合 船頭
NPO法人プロジェクト保津川 理事

学生とともに保津川の景観を取り戻す活動を

私が原田先生に初めてお会いしたのは、2006年頃のこと。それまでずっと、職場として日々接している保津川が大量のゴミで汚されていくのを胸を痛めて見ていました。何とか今の状況を変えなければならない。そう決心して相談したのが、大商大で河川の環境保全活動を活発に行っておられた原田先生でした。熱心に説明し実際に見ていただくことで悲惨な現状を理解していただき、保全活動の賛同者を一緒になって募っていただきました。そうした努力が実って「プロジェクト保津川」という活動が始まったのです。

私たちが目指すのは、空き缶やペットボトルのデポジット制度の導入など、ゴミの減少に直接つながる法律の制定。そのため、原田先生のゼミの学生さんには、保津川で定期的に実施しているゴミの清掃を手伝ってもらいながら、ゴミの量や種類を細かく調べてもらっています。観光客に対するアンケート調査も含めた調査結果のデータは、ゴミ規制の法令をつくるための論拠となるものなので本当に助かっています。

原田ゼミの学生さんは、皆熱心。最初は頼りなくても、卒業する頃にはすっかり社会人としての態度が身に付いて頼もしい限りです。この5年で培われた伝統が後輩たちにも受け継がれ、一緒に活動を盛り上げていってほしいと思います。

山口 進さん

山口 進 さん
パナソニック エコリレー ジャパン 事務局長
河川レンジャー アドバイザー

地域とつながり世代をつなげる環境保全活動

私たちの組織の母体であるパナソニックは、創業以来、「事業を通じて人々の『くらし』の向上と社会の発展に貢献する」「企業は社会の公器」を企業理念に掲げて事業を行ってきました。そうした考え方をベースに、森林•緑地•水を中心とした各地域の保全活動を行う組織「パナソニック エコリレー ジャパン」が2010年10月に立ち上がり、現在に至っています。

原田ゼミは、2010年の設立時より、淀川水系での環境保全活動に参加していただいています。ゼミ生には、清掃や外来種の植物や魚の駆除を主に手伝ってもらっていますが、大商大の学生は最初から積極的に活動に取り組んでいました。スタートした頃は何をしてよいのか分からないといった雰囲気でしたが、活動に慣れるに従ってこちらが指示しなくても自主的に物事を進めてくれるようになり、そのうちに、連絡窓口を自分たちで決めて私たち事務局と直接やりとりをするように。今では、先輩が後輩を指導しながら次の年代につないでいく伝統が生まれつつあります。

この取り組みはその名の通り、地域とつながって、学生や彼らよりずっと下の世代につないでいく活動です。その一員として、引き続き大商大のゼミ生の皆さんにも、そのリレーの一端を一緒に担っていただきたいと思っています。