フィールドワークゼミナール
宍戸邦章ゼミナール
少子高齢化とまちづくり―フィールドワークで現状を理解する―
(フィールドワークゼミナールⅡ・Ⅲ・Ⅳ)
日本は、高齢者の人口に占める割合が世界最高、年少者の人口に占める割合が世界最低クラスです。学生の皆さんが高齢者になる2060年代には高齢者の人口に占める割合が4割を超えます。少子高齢化社会の到来にともない地域における市民の社会的役割や活力をいかに創出するかが問われています。本演習は、社会的排除の問題について学び、それを解決するための具体案を考え、東大阪市社会福祉協議会ボランティア・市民活動センター、NPOやボランティア団体、行政、民間企業等と連携しながら実行します。東大阪市をフィールドにして、子どもの貧困や、高齢者の社会的孤立、市民活動の停滞などの諸問題について検討していきます。
子どもの貧困に取り組むプロジェクト
日本は子どもや子育て世帯に対する社会保障が薄い国です。近年、離婚率の上昇、母子世帯の貧困、児童虐待に対する相談件数の増加など、家族の不安定化と子どもの貧困が問題になっています。宍戸ゼミナールでは児童養護施設や自治会の協力のもと、「どこからわからなくなったかわかる」学習教材の開発や学習支援、子どもと高齢者の世代間交流イベントの企画などを行います。
社会的孤立に取り組むプロジェクト
高齢化や一人暮らし世帯の増加が近年進んでいますが、それにともない通院や買い物などの外出が困難になり、社会的に孤立するケースが発生しています。公的な制度だけではカバーしきれない生活問題に対して、地域住民やボランティア、民間企業と一緒になって検討しながら、生活問題の解決に向けたプロジェクトを実施します。具体的には、東大阪市内の河内小阪駅周辺で活動しているNPOやイオン東大阪店と協力して、後期高齢者や育児中の母親などお買い物や外出に困っている人々への支援(「ニコニコ号」の運行)を実施します。
市民活動の停滞に取り組むプロジェクト
東大阪市には、数多くのボランティア活動・市民活動が展開されていますが、その認知度は高くありません。近年、ボランティアをする人の高齢化や市民活動のマンネリ化などの問題も指摘されています。どのようにすればボランティア・市民活動をより多くの市民に知ってもらえるのか、どのようにすればより多くの市民がボランティア・市民活動に参加できるようになるのか、学生が一般市民にボランティアや市民活動を体験してもらうプログラムを考え、実行します。これまでに知的障がい者と一般市民が交流するスポーツ大会、災害時に適した料理の勉強会、高齢者スーツを利用して高齢者をよりよく理解するプログラムなどを実行しました。
生活問題や市民活動の実態を知るための社会調査
年度によっては、市民が抱える生活問題やボランティア・市民活動の実態調査を行なうことがあります。アンケート用紙の作成、データ入力、データ分析、分析結果の報告、報告書の作成といった社会調査の流れを経験してもらいます。大阪商業大学には、日本全国の成人を対象とした日本版総合的社会調査(JGSS)プロジェクトがあり、数多くの有益なデータが蓄積されています。このデータを活用し、日本全国と東大阪市との比較を通じて、東大阪市の特徴を明らかにします。