フィールドワークゼミナール
米盛 安奈ゼミナール
多様性社会の観光まちづくり―来て住んで楽しいまちを考える―
(フィールドワークゼミナールⅡ・Ⅲ)
日本は人口減少・少子高齢化に直面しており、消費の減退による経済への影響が懸念されています。そうした中、観光による交流人口拡大がもたらす経済効果に期待が寄せられ、地方創生の柱としても注目されています。地域の観光資源の発掘や情報発信による観光客誘致、地域活性化イベントへの参画、多様な人が観光を楽しめる環境整備に向けたバリアフリー調査等を通じて、観光と経済・社会との関わりを考えます。
本ゼミナールでは外部の観光関連機関と連携しながら、実社会の課題の解決に取り組むプロジェクト学修に取り組んでいます。基本的にはグループワークで課題に取り組み、メンバーとの議論、調査、企画立案や報告資料の作成、プレゼンテーションを通じて、基礎的・汎用的能力の向上も目指します。
「Z世代を対象とした大阪観光の提案・プロモーション」プロジェクト
2023年度前期は、Z世代に向けた大阪の観光需要喚起を目的に、大阪観光プロモーション動画を作成しました。動画作成にあたって、①ガイドブックやSNS等による大阪の観光資源の現状調査、②フィールドワークによる現地確認と、大阪の新たな観光資源の発掘、③ターゲットの明確化や観光ルートの作成、動画ストーリーの作成、④フィールドワークによる観光プロモーション動画の素材収集、⑤動画の編集を行いました。また、作成したプロモーション動画をもとに、株式会社チックトラベルセンター様(旅行会社)に大阪観光の企画提案を行いました。完成した動画は神奈川大学みなとみらいキャンパスの観光ラウンジでも放映頂き、関東圏からのZ世代の大阪観光の促進を図りました。
「バリアフリー観光体験・調査」プロジェクト
2023年度後期は、誰もが観光を楽しめる社会の促進を目指し、バリアフリー観光体験と調査に取り組みました。車椅子ユーザーや視覚に障がいのある方等の多様な視点で街を視る目を持つ為に、車椅子試乗・介助体験やブラインドウォーク(視覚を閉ざして歩行)・補助の体験学修を学内で実施しました。体験学修ではバリアフリー旅行実務約40年のキャリアをお持ちの夢ツーリストきたみ代表北見貴志氏にご協力頂き、車椅子の使用方法や注意点、段差・階段昇降の方法等を含め、バリアフリー観光について実務面からご教授頂きました。また、大学周辺(日常生活圏)及び京都の清水寺(観光地)において、車椅子ユーザーと視覚障がいの視点からバリア・バリアフリーの現状調査を行いました。清水寺では実際に車椅子での観光や介助にも取り組みました。調査内容は報告資料にまとめ、ゼミナール内で報告会を実施し、調査内容の共有を行いました。
2024年度以降も引き続き、観光客(来て)も住民(住んで)も、訪日外国人も車椅子ユーザーも、あらゆる人が観光を楽しめる社会(ユニバーサルツーリズム)の推進や、観光による地域活性化に向けた活動に取り組みます。