地域社会と中小企業(講座スケジュール)
創業88年のベンチャー企業が生み出す
イノベーションとは
2025年04月17日

はじめに
2025年4月17日(木)に、株式会社大都 代表取締役 山田岳人による講座をおこないました。大阪市生野区の下町にある中小工具問屋が、なぜ日本一のDIY用品のネット販売企業になれたのか。 合理性よりも「面白いかどうか」を判断基準に挑戦を続ける大都の経営戦略とは? 変革と成長のストーリーが語られました。
講座内容
1937年に大阪で工具の販売を開始した大都は、当初は地域に根ざした工具の問屋でした。 山田は新卒でリクルートに入社し6年間勤務後、妻の実家である大阪の老舗工具卸「大都」に後継者として入社。しかし業績は低迷し、組織には危機意識がなく未来が見えない状況でした。
しかし、時代の変化とともに卸売業の業績が低迷する中、「ECをやれば?」という友人の一言をきっかけに独学で学び、2002年にBtoCのECサイトを立ち上げます。 ニッチなニーズを捉え、売上は順調に拡大。この新規事業は、当初は業界からの反発もありましたが、着実に成長を遂げ、現在のEC事業の礎となりました。一方で、工具卸の業績悪化は続き、大胆な「選択と集中」の施策を決断。ECに完全移行し、23期連続成長を実現しました。 2023年には事業者向け通販サイト「トラノテ」をオープンするまでに至ります。
その間も大都は、卸売業からの撤退と古参社員の全員解雇、組織改革と新卒採用の開始、リアル店舗「DIY FACTORY」の展開など、苦渋の決断を強いられることも少なくないながらも、数々のターニングポイントを経験します。
講座では、これらのターニングポイントにおける経営判断の背景や、組織づくりへの想い、そして今後のビジョンなどが語られました。特に、社員が楽しく働ける環境づくりや、変化を恐れずに挑戦することの大切さが強調されました。
まとめ
株式会社大都は、工具の問屋からECプラットフォームの運営へと、時代の変化に合わせて事業を転換させてきた企業です。成功だけでなく失敗も経験しながらも常に挑戦を続ける姿勢が、大都の成長を支えています。
講座で学べたこと
本講座では、企業の成長には、変化への対応力と挑戦する勇気が不可欠であることが示されました。また、組織づくりにおいては、社員一人ひとりが働きがいを感じ、能力を最大限に発揮できる環境を整備することが重要であると強調されました。さらに、成功事例だけでなく、失敗事例も共有することで、参加者はより実践的な学びを得ることができました。
■講師プロフィール
山田 岳人(やまだ たかひと) 1969年石川県生まれ。京都産業大学経営学部卒業後、株式会社リクルートに入社。6年間人材採用の営業を経て、1997年に妻の実家の後継者として大都に入社。2002年にEC事業を立ち上げる。2011年同社代表取締役社長に就任し、現在に至る。社団法人DIY協会認定の「DIYアドバイザー」の資格を保有している。
■会社概要
社 名 :株式会社大都
本社所在地:大阪府大阪市生野区
設 立 :1937年
●コーポレートサイト(https://www.daitotools.com)
■運営サイト
● トラノテ(https://www.torano-te.jp/)
● DIY FACTORY(https://www.diyfactory.jp/)